『エルドアン大統領懐古趣味か恩の押し売りか』

2020年2月19日

先日、トルコからのニュースで、津村大佐がトルコ軍兵士を救助した、という話が日本の新聞紙面に、載っていたと思う。そのため、トルコ政府は彼の名前を、通りに付けたとも報じられている。

大いに結構な話だと思うが、それは結局のところ、日本からの援助や技術協力を、期待してのことではないのか。トルコ国民にしてみれば、全く知らなかった話が、表面に出てきても、心が踊ることはあるまい。

その前のエルトールル号事件は、トルコの教科書にも載っているそうで、知る人は多かろう。また感動的な話でもあろう。貧しい漁村の人たちが、オスマン帝国海軍の船が、台風に巻き込まれ、多数が死亡したが、生き残った人たちを、台風ものともせずに、小舟で出ていき救った。

しかも、そのトルコ人船員(軍人)たちを、村民は暖かく迎え、少ない食料も提供した。その後には日本全土で、募金が集められ、トルコ(オスマン帝国)に届けられたという話だ。その話は海難という名の映画によって、日本人にも印象付けられている。


今度はアイルランドとトルコとの話だ。1847
年代にアイルランドが、貧困だった時代、多くがアメリカへの移民をしたいと思うのだが、それが難しかった。結果的に島では食糧難が起こっていた。オスマン帝国皇帝のアブドルハミト
2世が1万ポンド(現在のレートに直すと130万ポンド相当)を送ることを決めた。だがそれをイギリスが、邪魔したということだ。

それでオスマン帝国は、食料医薬品その他の生活必需品を、アイルランドに送ろうとすると、イギリスがオスマン帝国の船の航行を邪魔し、船は大きく北回りでアイルランドへ物資を届けたという話だ。

いまトルコは人道的という名で、あちこちに軍を送り、戦争をしている。しかし、それは見え見えのものであり、シリアでもリビアでも、ほとんどの人たちから、反感を持たれているのではないか。

トルコのエルドアン大統領は、自国のイメージを引き上げ、国民の鼓舞に動いているのであろうが、あまり成果を上げるとは思えない。それは人道主義の名の下に、トルコのオスマン帝国の夢復活のイメージが、ダブっているからであろうか。アイルランドの話などはまさに美談なのだが。