最近になってエジプトから、資源開発のニュースが続いている。それは地中海海底のガス開発やナイル・デルタでの石油開発などであり、これらは皆ヨーロッパや、アメリカの企業との協力で、進められている。
石油開発ではネプチューン社が進出し、ガス開発ではイタリアのエジソン社、進出しているということだ。それ以外の会社では、以前からイタリアのENI社がガス開発を進めているし、イギリスの会社も動いている。
加えて、紅海沿岸のスーダン国境に近いハラーィブでは、金鉱脈の開発が進んでいる、ということだ。この金鉱脈は以前から、カナダの会社との協力で、進められていたものだが、ここに来て、その規模を拡大しているのかもしれない。
モルシー政権の時代は、同大統領がムスリム同胞団員であったことから、イスラム教徒の居住地域に、国境は無いという考えであり、このハラーイブの金鉱脈地域を、スーダンにくれる、という話があった。
もちろん、それはシーシ大統領の登場で、立ち消えとなっている。モルシー大統領は北シナイのパレスチナへの割譲も、考えていたのだから、国境無き善意、とでも言うべきものであろうか。
最近になって、ムスリム同胞団を敵視していたサウジアラビアは、ムスリム同胞団はナチのような組織だ、と手厳しく非難している。確かに、ムスリム同胞団は普通人間の発想とは、異なる部分があるようだ。
エジプトは地下資源の開発に加え、経済の建て直しを進めているが、これは世銀やIMF、指導の下に進められている。そのなかで最優先されるのは、国家が一般消費物資に対する、補助金を減らす、カットすることだ。いまのところ、IMFはエジプトの経済改善は、順調に進んでいる、と賞賛している。
補助金のカットは、当然、国民の日々の生活を、厳しいものにするということになる。ただ、以前あった話だが、政府が補助金で、超低価格で売っているパンを、金持ちの酪農家が、家畜の餌として与えている、ということが露見し、大騒ぎになったことがある。
政府の補助金が、いかに凄いものであるか、示す好例であろう。そうした馬鹿げた補助金を、カットすることはエジプトにとって、有益であろう。ただ、最貧困層にしてみれば、日本円で1円単位の値上がりが、大きく生活に響くという側面もある。
国民の不満が爆発しないように、とシーシ大統領はいろいろと、手を打っているようだが、そのIMFの指導が効奏して、エジプトが経済状況を改善できるかは、これから明らかになろう。
経済の改善には、国民と政府が一体となって、苦しいトンネルを抜ける必要が、あるということだ。