『トルコ・シリア軍事衝突はこれからか』

2020年2月15日

 トルコがシリアに軍事侵攻して、もう数ヶ月、あるいはそれ以上の歳月が、経過しているが。しかし、トルコ軍はこれといった成果を、挙げていないのではないか。トルコ政府に言わせると、シリアでのIS(ISIL)掃討作戦で、トルコは大きな成果を挙げ、シリアに貢献したというのだが。

 ここに来てトルコはシリアへの介入に、確たる成果を上げる必要が、出て来ているようだ。それは今年行われる、選挙に向けてのものであり、アメリカのトランプ大統領と同じ目的なのであろう。だが、それは一歩間違えれば、政権の命取りにもなる、可能性がある危険なものであろう。

 トルコはシリアの北部イドリブなどで、軍事作戦を展開してきたが,この戦闘でのほとんどの戦闘員は、シリア人を集めたFSA(自由シリア軍)であり、傭兵ということだ。従って彼らが命がけで、戦うことはあまり期待できなかった。

 しかし、トルコの大統領選挙が、絡むとなってはそうもいくまい。トルコ軍が本格的に投入され、シリア軍との戦闘を始める、いうことだ。だが、何度も書いてきたように、シリア軍の背後にはロシア軍がいる。ロシアは戦略拠点としての、シリアの価値を高く評価しており、何としても守るつもりであろう。

 トルコ政府が既に報じているように、シリアを支援するのは、レバノンのヘズブラであり、イランであり、ロシア軍ということになる。トルコ政府はそうは言っても、シリア勢力は幾つものセクトに分裂しており、彼ら同士が戦っている。しかも、その各々の背後に、外国が関与している、と説明している。

 その事はトルコにとって有利だ、と言いたいのであろうか。あるいは、将来の敗北に対する、いまのうちからの言い逃れであろうか。トルコ軍が自前で戦うことになれば、トルコ兵が多数死傷する、ということになろうが、それはエルドアン大統領の選挙に、あまり有利には働かないだろう。

 エルドアン大統領はシリアに軍事侵攻し、シリアの一部を占領し、自国領土としようと思った、シリア側の国境地帯を安全地帯とし、そこにシリア難民を送り返そうとした、ユーフラテス川東岸の石油ガスを押さえようと思った、シリアのアサド体制を打倒しようと思った、しかし、そのいずれも成功していないということだ。

 同様にリビアへの進出でも、エルドアン大統領の思惑は外れ、トルコが支援するセラジ政府ではなく、敵側のハフタル将軍側が優位に立ち、トリポリを包囲しているし、そのハフタル軍側の背後では、多くの国々が支援を送っている。

 どうやらエルドアン大統領の運は、尽きつつあるのではないのか。これから起るであろう番狂わせは、エルドアン大統領が得意としてきた、メガプロジェクト、イスタンブール運河建設が、頓挫することではないのか。