『トルコがシリアと交戦露はどう動く』 

2020年2月 4日

 トルコ軍はシリアのイドリブ近くに、監視団として駐留していたが、今回、本格的な制圧を考えてか、大部隊をアレッポやイドリブに、向けて送り出した。

これに腹を立てたシリア側は、トルコ軍追い出し作戦を行った。

シリア側の攻撃は、主に砲撃だったようだが、その結果、トルコ兵6人が犠牲になり、民間人もⅠ人死亡している。もちろん負傷者も、相当数出ているものと思われる。これは述べるまでもなく、エルドアン大統領を激怒させることとなった。

トルコ側はこのシリアとの戦いで、シリア側の46人の兵を殺したと語り、加えて、3035人のシリア人を、捕虜にするか殺害した、と語ってもいる。だが人権委員会の報告では、シリア側の兵士の犠牲者数は、6人ということのようだ。

この戦いは今後も、続くものと思われるが、ロシアはどう立ち回るのであろうか。ロシアはシリア軍を支援しており、トルコとも良好な関係にあった。しかし、ここに来てロシアとトルコとの関係は、御破算になるかもしれない。

 ロシア政府は今回の衝突については、全く情報が無かったと語り、トルコからは事前の連絡を、受けていなかった、と語っている。従って、武力衝突が起こることを、想定していなかった、と言いたいのであろう。

 S400の取引以来、トルコとロシアとの関係は、良好なものとなっていたが、その後リビアへの対応では、ロシアは東側のハフタル軍を支援し、相当数の傭兵を送っているし、武器も供与しているようだ。

それに対して、トルコ側は国連が正式に認めたという、西側のセラジ政府を支援している。トルコはこのセラジ政府に対し、シリア人傭兵を数千人送り込み、戦車を含む重火器も、送り込んでいる。

従って、近い将来ロシアの傭兵と、トルコの傭兵がリビアで、戦闘を展開する可能性は、高いということだ。しかも、トルコは顧問団だけではなく、実戦に携わるトルコ兵も、送り始めている。

こうした険悪なムードの中での、今回のシリア兵とトルコ兵の衝突は、益々、ロシア・トルコ関係を、険悪なものにしていこう。それはアメリカにとっては、好都合なことであろう。