『アメリカのイラク三分割案』

2020年1月26日

 アメリカ政府はイラクを三分割する考えを、進めているようだ。北はクルド人の支配下にし、現実にイラク北部には実質的な、クルドの自治共和国が成立している。こうしたアメリカの考えがあるために、イラクではいま、激しいアメリカ軍追放デモが、起こっているのだ。

 イラクのシーア派のリーダーの一人であるモクタダサドル師は、シーア派教徒たちに立ち上がれ、と檄を飛ばしデモが拡大している。デモは既に200万人を超える規模で、集いまっているということだ。

 アメリカは宗派や人口を考慮して、イラクを三分割する構想を持っており、既に述べたように、北イラクにはクルド地域政府が誕生しており、この政府は西側寄りであることで、知られている。アメリカ政府はクルド地域への、アメリカ軍の増派を考えてもいる。

 中部のアンバル県を中心とする地域は、スンニー派イラク人の地域になり、これはアメリカ軍がイラクやシリアを、軍事支配する上で、重要なポイントとなっている。またこのアンバル県はアメリカ軍の、シリアに於けるデルゾール作戦を、有利にもするであろう。

 アメリカとイスラエルは協力して、中東地域を支配下に置こうと考えており、イスラエルはアメリカの合意の下に、シリア、レバノン、パレスチナを、支配併合していく考えだ。もちろんそれは非合法なのだが、力の前には抵抗のしようは無いのが現実だ。

 アメリカの構想する政府の和平交渉の下で、イスラエルはゴラン高原を、実効支配している。そして、いまではゴラン高原は、イスラエル領土となっているのだ。そこは1967年に起った第三次中東戦争までは、シリアの領土だったのだが。

 アメリカやイスラエルが考えるアラブ諸国分割計画は、結果としてそこに住むアラブ人たちが、アラブ人たちと戦い、ムスリムがムスリムと殺しあう、構造を作り上げることだ。残念だがこの構想は前進している。