『イラクもレバノンも自国民同士が敵』

2020年1月25日

 イラクでは百万人規模のデモが、起こっている。デモの目的理由は米軍追放なが、アメリカは大基地をイラク国内に構築しており、出て行く気配が無い。イラク政府の撤退要求に対して、アメリカ政府は基地建設には、金がかかっている。出るにはその建設費用を払え、というのだ。

 勝手に侵入してきて、軍事基地を造り、我が物顔で活動し、出て行けといわれても出ない。そればかりか、出るには基地の建築費を払え、というのだから勝手なものだ。これは他の国でも同じであろう、日本などは良いかもの典型であろう。

 このためイラク国民は怒り心頭、大デモになっているということだが、イラク政府はというと、ダボス会議でトランプ大統領とサーレハ代表が、話し合っている。これも国民からすれば、ふざけた話であろう。

 こうしたことからイラクの各派は、皆政府に対する抗議デモに、参加することになった。シーア派のサドル師などもその一人だ。サドル師といえばアメリカ軍が、イラクに入った2003年代に、大分派手に抵抗運動を、指揮していた人物だ。

 もちろんその問題の裏には、イラク政府幹部の汚職などもあるのだ。イラク国民はといえば、汚職とアメリカの略奪で、生活は苦しい状態にある。だからデモが起っても、何の不思議も無かろう。

 同様に、レバノンでも大デモが続いている。昔は中東のパリといわれていた、首都ベイルートも大デモの中で荒れている。瀟洒なビル、店舗のショウウインドウが投石で、破壊されている。

 加えて、デモ参加者の多くが、負傷しているのだ。救われるのは警察の治安部隊が、催涙弾は使っているが、実弾は発射していない、ということであろう。レバノンでは新内閣の組閣に、散々てこずり、最後にはヘズブラも加えて、新政府内閣が結成されたが、あい変わらず国民の反発は続いている。

 レバノンでも政府幹部の汚職が、問題になっているのは、イラク同様だ。貧すれば鈍するという言葉があるが、国が貧しくなると政府幹部は、汚職で私服を肥やし、それを知った国民は、抵抗のデモを起こす、という決まったコースだ。

 イラク政府にもレバノン政府にも、これといった問題解決の方策は無い。当分混乱が続き、それに巻き込まれて国民の弱い者たち、女子供たちが犠牲になっていく、ということであろう。気の毒としか言いようが無い。