1月20日をもって、アメリカ軍の下請けであるベクトラス社が、トルコ人のインジルリク空軍基地スタッフの半分を、首にすることを発表した。このインジルリク空軍基地で働いている、トルコ人従業員は890人であり、今回首になるのは、そのうちの424人だ。
そのうち女性従業員は34人、つまり男性従業員は残りの、392人ということだ。その中の男性従業員たちは、一家を支える働き頭であることから、この解雇問題はトルコの、社会問題となって行こう。
インジルリク空軍基地の、トルコ人労働組合幹部は、トルコの経済状況を考えるとき、大きな痛手になる、と語っている。従って、インジルリク空軍基地のトルコ人労働組合は、他のトルコの労働組合と連帯して、抗議していくということだ。
今回の、トルコ人従業員の解雇問題は、実はその裏に、アメリカの中東戦略に、大きな変化があるのではないか、と考えられている。アメリカはトルコの基地ばかりではなく、イラク、シリアの基地からも、撤退することを考えているのではないか、ということだ。
インジルリク空軍基地はシリアから、110キロ離れた地点にあり、1954年に設立されたものだ。東西冷戦時代には、西側の最前線基地であったし、1990年から1991年に行われた、湾岸戦争では,主要な空軍基地として、使われたのだ。
加えて、アメリカ軍のIS(ISIL)掃討作戦でも、インジルリク空軍基地は、主要な役割を果たし、空軍の発信基地となっていた。
トルコはいま、経済不況の中にあって、失業問題が大きな問題として、国内で騒がれている。特に若者の失業が、大きな問題であり、彼らは父親の稼ぎのなかから、少ない小遣いをもらって、日々を過ごしているのだ。
今後も、こうした状態が続くのであれば、トルコ社会は何時暴発しても、不思議はなく、エルドアン体制の脆弱性が、そこにはあるのだ。うがった言い方をすれば、アメリカがエルドアン体制に、敵対しているためではないか、ということになるが、それは考えすぎであろうか。