リビアの石油輸出が、ブロックされたようだ。その事は、確実にリビア人の生活を窮地に、追い込もう。リビアの全ての物資は、石油輸出による収入で、カバーされているからだ。
リビア人は石油輸出が、止められる状態が長期化すれば、死者すら出かねまい。食糧のほとんども、他の生活物資も、外国からの輸入でまかなわれているからだ。それは石油収入によってまかなわれてきていたのだ。
リビアがこれほど混乱した状態に陥ったのは、欧米によってカダフィ体制が、打倒されたためであり、その後、欧米やトルコがリビア問題に介入し、複雑にしてしまったからだ。トルコはリビアにシリア人傭兵の戦闘員を送り込んでいる。
トルコ政府は自国の軍人も、アドバイザーとしてリビアに送り出し、国連が認めているという、セラジ政府側を支援し始めている。いずれにしろこれまでに、2000人のリビア人が戦闘で、死亡したと報告されているのだから、リビアの現状は悲劇の典型、ということであろう。
混乱のなかで、一時期は130万バーレルもあった、リビアの石油生産は今日では、50万バーレルに下がっている。この結果、リビアの石油収入は、5500万ドル・日の損失になっている、ということだ。
リビアの国内混乱の解消のための会議が、モスクワで開催され、すったもんだの後で、ハフタル将軍が合意文書にサインし、一応の停戦合意は生まれたが、どの程度の効果があるかは分からない。今回の石油輸出停止も、ハフタル軍側が一方的に、決定したものであり、それにセラジ政府は何の手だても、出来ないでいる。
ロシアやトルコはセラジ政府を支持しており、モスクワ合意もセラジ首相には、有利であっても、ハフタル将軍の側にとっては、不満が一杯なのであろう。その事がリビア石油の輸出を、止める事態になっている、ということだ。
一部ではこうした混乱に、嫌気をさしたリビア国民のなかから、カダフィ大佐の子息サイフルイスラームの登場を、期待する声が上がっているようだ。誰かカリスマ的な人物が、リビアに登場しない限り、下手なボクシングの試合と同じで、ジャブだけを打ち、多くの犠牲者が出る、という構図だ。