『中東短信』

2020年1月16日

  今日はこれは、というまとまった記事がないので、短信の形で幾つかの、重要と思われるニュースを、お伝えする。

:シリア空軍イドリブ空爆住民を含む、ミリシアなど18人が死亡

 シリアのイドリブは北部にある街だが、そこはIS(ISIL)などミリシアの逃避場所となっている。そして、そこはかつては、シリアの工業地帯であり、種々の機械も、残っているのであろう。

 シリア軍はロシア軍の協力を得て、イドリブ空爆作戦を敢行したようだ。その結果、現地住民も含め、18人が死亡した、と報告されている。自国の軍の攻撃で死亡するのは、全く残念なことであろうが、これが戦争の現実なのであろう。

:イラクのサドル師米軍を追放しろ

 イラクの宗教学者の名家である、サドル家のサドル師が、イラク国民に対して、アメリカの軍事駐留を許すな、と檄を飛ばしている。

 アメリカ軍はイラク国会の、決定にもかかわらず、イラク駐留を継続するつもりでいる。そのうえ、イラクがどうしても出て行け、と言うのであれば、アメリカが莫大な投資をして、完成させた軍事基地の建設代金を、払えと言っているのだ。

 述べるまでもなく、この軍事基地はイラク政府の、要請によって建設されたのではなく、アメリカが勝手に自国の利益のために、建設したものだ。だが、アメリカのトランプ大統領は、何かにつけ金金と言っているし、アメリカ軍が撤退することになれば、イラクに対して厳しい経済制裁を、するとも言っている。これはギャングの手法ではないか。

:イラン地下にミサイル基地建設

 アメリカの情報部は、イランが地下に、ミサイル基地を建設していることを、突き止めたと発表した。将来、そこを攻撃するということであろう。これは、いわゆる脅しのセリフだ。

 イランは北朝鮮との関係がよく、核技術やミサイル技術に加え、こうした建設工事でも、指導を受けている。そのことを知っているアメリカが、航空写真などの分析で、ミサイル基地の場所を、確認したということであろう。

:エルドアン大統領野党の市長は与党に乗り換えろ

 トルコのエルドアン大統領は、野党出身の各市長に対して、野党から与党への党籍変更を、呼び掛けている。そうすれば、政府は地方に対して、財政援助もする、ということであろう。

 トルコ最大の都市である、イスタンブール市の場合は、トルコ全体の経済の30パーセント程度を、動かしているため、政府の補助金無しでも、やっていけるが、地方の市町村はそうはいくまい。そこに付け込んだ、エルドアン大統領の発言、ということであろう。市長たちは与党に乗り換えなければ、政府の援助が受けられ無いばかりではなく、突然、政府によって更迭されることもあるのだから、たまったものではあるまい。大統領制の国家は、いわば独裁制国家なのだから、それが可能なのだ。

:イスラエルはイランが2年以内に核兵器保有と報じる

 イスラエル政府はイランが、十分な核燃料を保持しており、核兵器を造ろうと思えば、2年以内に可能だ、と言っている。だが、イランのハメネイ師は、『核兵器は人類に対する犯罪。』と語り、核兵器を創ることは、無いと否定している。これはイスラエルの宣伝であり、イランのイメージを、危険な国家とするための、ものであろう。