トルコの中央銀行は、2020年にトルコ・リラが、6.43まで下がるだろうと予測した、ちなみに、現在のリラの対ドル・レートは、5.88程度だということを考えると、この予測数値が、どれだけ悪いものか、想像がつこう。
その原因は沢山考えられるが、どうもトルコが進めている、多くのことがトルコに、何の利益も生み出さないばかりか、逆に経済を悪化させるものばかり、だからであろう。例えば、トルコが勇敢に進めたシリア侵攻、そしてリビア侵攻は、何の利益も、生み出すものになるとは思えない。逆に、戦費が大きくトルコの経済に、圧し掛かってこよう。
トルコがリビアのセラジ政府と交わした、海底石油ガスを狙った、地中海海域の領海線引きも、ヨーロッパ諸国からの大反対を受けており、このことが原因で、ヨーロッパからのトルコへの投資貸付は、止まってしまうかもしれない。
トルコの意図ではなかったが、シリアのイドリブ攻撃は、シリア軍やロシア軍によって行われた結果、多くの難民がシリアからトルコに、流れ込んできている。そのなかには多数のクルド人も、含まれているものと思われる。
トルコ政府が進めたシリア領土内、の安全地帯構想とそれに伴う、シリア難民の帰還は遅々として、進んでいない。当然であろう、何の設備も無い、寒風吹き荒れるトルコ・シリア国境に、シリア難民が出て行くはずは無かろう。
リビアのセラジ政府を支援すれば、リビアの再開発にトルコ企業が、進出でき大儲けになる、と考えていたのであろうが、結果は反対派の、ハフタル将軍側が優位に立っており、セラジ政府は打倒されるか、脇役に押しやられることになろう。
このリビアの件では、トルコ政府はチュニジアとアルジェリアに、協力を求めたが、冷たく断られている。とどのつまりは、ロシア頼みだったが、これもトルコの存在感を、薄くするだけであろう。
地中海のセラジ政府との、領海合意もヨーロッパ諸国からの、猛烈な反対でトルコはこれらの国々との、関係を壊すことになっている。これは今後のトルコ・ヨーロッパの経済関係に、暗い影を落とし始めている。
そしてもう一つあるのは、メガ・プロジェクトの問題だ。エルドアン大統領は新ボスポラス海峡の建設を、推進するつもりだが、何処からその資金は、出てくるというのであろうか。カタールも出資には限界があろうし、どうしてもということであれば、その新ボスポラス海峡を、担保にするのではないのか。それは中国の投資も然りだ。
外国からの資金流入が、期待できなくなれば、自国内企業を強制的に、参加させるだけであり、その企業への支払いは、リラ札の大量発行であり、インフレは間違いなく進み、リラの価値は暴落しよう。
どうやらコンピューター並みの、エルドアン大統領の計算能力と、金儲けの感は狂い始め、どうにもならないところまで、来たのではないか。日本人の多くが、トルコの高金利をアテに、トルコ・リラを買っているようだが、それは紙切れを買っているに過ぎまい。