『スレイマーニ将軍の暗殺は高くつく』

2020年1月 5日

 アメリカがバグダッド空港に到着して、移動するスレイマーニ将軍の車を攻撃し、彼を殺害した。同時に、イラクの人民動員隊副司令官である、ムハンデス氏も殺害された。彼らはアメリカ軍によって殺された、31人のイラク兵の葬儀に、列席する予定だった。

 これで二人の殉教者が、誕生したことになる。スレイマーニ将軍は勇敢であり、ハンサムであり、かつ知的だった。彼が育てアドバイスし、支援したアラブのミリシ組織は幾つもある、レバノンのヘズブラ、イエメンのホウシ・グループ、パレスチナのジハード組織、それに加え、シリアとイラクの民兵もそうだった。

 これらの組織のメンバーたちは、これからアメリカに向けて、銃を放つことになるのだ。それは、アラブ地域だけではないかもしれない。もちろんアラブ地域だけでも、アメリカ大使館やアメリカ軍の基地は多数あり、アメリカ人の外交官や、軍人の数は少なくない。これからは彼ら全てが、スレイマーニ信奉者たちの、ターゲットになるのだ。

 イランからは『ペルシャ湾からアメリカ軍を追放する』という声が上がり、レバノン、パレスチナ,シリア、イラク、イランでは『アメリカの死を』というスローガンが叫ばれている。イランのロウハーニ大統領は『スレイマーニ暗殺はアメリカにとって、高いものにつく。』と警告している。

アメリカ政府高官からも『スレイマーニ暗殺は大きな間違いだった』という意見が出ている。元CIAのミシェルモレル副長官は、この暗殺がアメリカ人に死を呼ぶ、と警告している。アメリカはスレイマーニ将軍の暗殺で、非常に高いリスクを、買ってしまったということだ。

 イラクではアブドルマハデイ首相が、アメリカ人を追放すると言っているし、イランの革命防衛隊『IRGC』も『アメリカを地域から追放する。』と誓っている。こうなっては、アメリカの居場所がなくなろう。アラブのどの国でも、アメリカ人は危険に、さらされることになったのだ。

 アラブ各国には幾らでも、アメリカを攻撃する場所がある、アメリカ大使館、アメリカ軍基地、アメリカ関連組織や、企業の事務所などだ。そこにいるアメリカ人達は皆、反アメリカのジハーデストたちの、ターゲットになったのだ。

 イランのロウハーニ大統領や、イラクのアブドルマハデイ首相などが、語るまでも無く、アメリカにはこれから、アラブに安住の地は無くなろう。そして精神的、肉体的疲労の後、アメリカは中東から去っていくのではないのか。その後に、アラブ世界に進出してくるのは、ロシアであり中国であろう。