エルドアン大統領の元気が、後退しているのかもしれない。どうやら、トルコ軍のリビア派兵は、ここに来て躊躇が、生じているようだ。トルコのファウト・オクタイ副大統領が、リビアの国内情況次第では、トルコはリビアへ派兵することを、取り止めるかもしれない、と語ったのだ。
普通であれば、独裁者のエルドアン大統領の意向に、反する発言は出てこないはずなのだが、今回はそれが姿を見せているのだ。しかも、彼ファウト・オクタイ副大統領の発言の前には、トルコ議会がリビアのセラジ政府支援で、派兵を決議しているのだ。
彼の発言内容を見ると、この発言は、トルコの派兵反対派に対する、答えであり、場合によっては、トルコは派兵ではなく、武器供与に留まるかもしれない、ということではないのか。
他方、ハフタル将軍側はロシア、エジプト、アラブ首長国連邦、ヨルダンなどから武器供与と、武力支援受けている。つまりハフタル将軍側は、完璧な状態にあるのだ。これではセラジ政府側は、不利な戦闘を強いられることになろう。
トルコはリビアへの軍事介入で、チュニジアの協力を得て、武器や兵員を陸揚げしようと考えたが、チュニジアはリビア問題では、いずれの側にも組しない、という立場を示した。リビアの内戦に、引き込まれたくはないからであろう。当たり前の判断だ。
こうなるとトルコは単独で、セラジ政府を軍事的に、支援しなければならなくなる。そのセラジ政府の高官は、『シリアの部隊は受け入れたくない。』と言い出している。これは間接的なトルコの、軍事介入に対する『ノー』の返答であろう。
トルコはリビアへの兵員の派遣は、シリアのFSA(自由シリア軍)の戦闘員で、大半をまかない、トルコ兵は出来るだけ少数で、留めるつもりでいたようだ。しかし、兵員や武器の搬送は、チュニジアに反対され、シリアからのFSAの派兵は、セラジ政府の高官に拒否された。
もちろん、トルコ国民の間でも、リビアへの軍事介入は、反対の声が大きいのだ。シリアからのFSAなどの傭兵は、2000ドルから、3000ドル程度の給与を受け取ることに、なっている。トルコ政府には結構な負担となろう。
エルドアン大統領はシリアでの戦闘、国内のクルド民主党(PKK)との戦闘、そして、リビアでの戦闘となれば、経済は持つまい。しかも、第2ボスポラス海峡建設という、メガ・プロジェクトも決議されているのだ、それらの資金は、何処から来るのか???