『エルドアンのリビア支援既に失敗なのだが』

2019年12月28日

 弱り目に祟り目という言葉があるが、いまのトルコはまさに、その通りなのではないか。エルドアン大統領がおっ取り刀で、チュニジアに乗り込み、リビアのセラジ政権を支援するために、トルコは軍隊を送る用意がある、と見栄を来切った。

 しかし、エルドアン大統領の計算は、始めから狂ったようだ。トルコがセラジ政府を支援するために、武器を満載して送った貨物船は、ハフタル将軍側に阻止され、陸揚げすることが、出来なかった。

それで、エルドアン大統領は武器の陸揚げを、チュニジアの港でやろう、と考えたのであろう。チュニジアの港なら邪魔されることはないし、貨物船を壊されることもない、と踏んだのであろう。

さて、チュニジア政府のエルドアン大統領訪問に、際しての反応はという、極めて不都合なものだった。チュニジア政府はリビア問題では、中立の立場を守るとして、セラジ政府側にもハフタル将軍側にも、組しないという立場を、明らかにしたのだ。

そのことは、トルコ政府がセラジ政府側に、送る予定だった、武器の陸揚げをチュニジア政府が認めない、ということであろう。それは当然のことで、リビアのどちらかを支援することになれば、チュニジアは反対派によって、戦場の一部になってしまう、危険性があるからだ。

加えて、マスコミではトルコが、シリア人を傭兵としてリビアに送り、戦闘させようとしている、と非難が既に出ている。シリアでのトルコ軍の活躍は、聞こえてこなかったが、トルコはシリアでは、シリア自由軍『HSA』を傭兵として使って、自国の軍人に戦わせることは、無かったということであろう。

そのためトルコは莫大な金をかけて、シリアに派兵しながら、何一つ成果『トルコの利益』を挙げていないのだ。今回のリビアへの派兵でも、そのFSAを使って、傭兵に戦争をさせる、腹なのであろうか。

チュニジアの隣国アルジェリアは、トルコがリビアで何をしようとしているのかを、冷静に分析している、ということだ。この国もリビアとは隣接いており、ちょっとした計算違いが生じれば、リビア兵や、トルコが送る傭兵であるFSAが、自国内になだれ込んでくる、危険があるのだから、当然であろう。

しかし、こうした周辺諸国の反応とは別に、リビアの西側を支配するセラジ政府は、トルコに緊急の派兵を要請し、トルコ議会もリビアへの派兵を決議している。決議と言っても、これはトルコの独裁者である、エルドアン大統領の意向を、そのまま認めただけのことだ。

以前にも書いたが、トルコはシリアでも、巨額の戦費を浪費し、安全地帯の構築に金をつぎ込み、今度はそれにリビア派兵をする、というのだから、トルコ経済が悪化するのは、目に見えていよう。

トルコ政府はリビアの、セラジ政権を支えることで、戦後の復興で多くの仕事を、得ることが出来る、と目算していたのであろうが、実際はその逆で、トルコはリビアで何の仕事も取れず、他の国々のリビア進出を、指を咥え眺めているだけで、終わることになるのではないのか。どうやらエルドアン大統領の勘も、鈍ってきており、今後はもっと誤算が、出てくるのではないか。それは彼の権力が崩壊していく、前兆であろう。