トルコのエルドアン大統領と、リビアのセラジ首相が、セラジ首相のイスタンブール訪問で、正式に軍事協力に合意した。この結果、エルドアン大統領はおおっぴらに、リビアに武器を送れることに、国内的法整備が出来たということだ。
早速トルコからは、戦車、ドローンなどが送られ、相当数の兵員も、送られることになろう。一説によれば、3000人の軍事アドバイザーや、対戦車砲なども既に送った、ということだ。
加えて、トルコに留まっていたIS(ISIL)や、ヌスラなど過激なイスラム戦闘員も、リビアに送られるということだ。そうなれば戦闘は極めて、残虐な展開になるのではないか、ということが懸念される。
エルドアン大統領は今回の、リビアとの合意を踏まえ、リビア問題のゲーム・チェンジャーになった、と息巻いている。しかし、現実はそれほど甘くは無かろう。リビア西部の政府セラジ首相に対抗する、東のハフタル将軍にはエジプト、アラブ首長国連邦に加え、ロシアも支援を送っているのだ。
ロシアは既にシリアに送っていた、ワグナー・グループと呼ばれる、傭兵部隊を始め、戦闘員数千人を、リビアに移送した、ということのようだ。アラブ首長国連邦も戦闘用小型機を、6機送り込んでいるが、これはハフタル軍が爆撃用に、使用することになろう、と言われている。
エルドアン大統領はセラジ政府が、国連のお墨付きであり、正統なリビアの政府だと主張しているが、エジプトのシーシ大統領は、セラジ政権はムスリム同胞団など、過激派イスラムの人質に過ぎない、と評価している。
確かに、リビアに入っているムスリム同胞団は、トルコの情報機関であるMITが集めた、IS(ISIL)の戦闘員やアルカーイダの戦闘員たちと、一緒に送り込まれたのだ。トルコはムスリム同胞団を支援しているが、エジプトやアラブ首長国連邦は、ムスリム同胞団を危険な組織、と警戒しているのだ。
どうやら、直に始まりそうなリビアの内戦は、トルコとエジプトとの中東地域における、覇権争いの戦争に、変貌するようだ。それにロシアもアメリカも絡んでいるのだ。それは近い将来に、中東の政治地図を書き換えることに、繋がるかも知れない。