『いま本気で戦争する意思のある中東の国』

2019年12月17日

 いまどれだけの国が、中東地域で本気で、戦争をする意思が、あるのであろうか。中東と聞けば、何時も紛争が繰り返されている、ということで、日本からは観光客が激減している。テロに遭っては命がない、と皆警戒しているからだ。

 しかし、世界レベルで考えれば必ずしもそうではない。中東の一部の国では確かに紛争が起こっているし、デモが過激化してもいる。デモの過激化で言えばレバノン、イラク、イラン等だが、それ以外に内戦状態にある国は、リビア、シリア、イエメンなどであろうか。まあシリアの場合は、トルコやアメリカの介入もあり、内紛というよりは、戦争と言った方が、正確かもしれない。イエメンは国内各派の衝突もあるが、サウジラビアやアラブ首長国連邦との戦争も、起こっている。 

 こうして並べてみると、やはり、中東地域は危険だ、という結論が出てくるのであろうか。だが、日本人が行く観光国はエジプトであり、トルコでそれ以外は、あまり関心が持たれていまい。

エジプトもトルコも観光立国であり、治安の維持には、最大の努力を払っており、案外安全であろう。チュニジアはヨーロッパ人にとっては、魅力的だが日本人の間では、それほどでもないし、レバノンは大分前に忘れられた、観光国であろう。

 さて、相対的にはやはり、危険度が高い中東地域でも、最も好戦的な国はと言えば、トルコであり、イスラエルであり、イランということになろうか。もし、これらの国同士が衝突することになれば、確実に戦闘は拡大することになろう。

 イランも観光遺跡は多いのだが、イランに対してはイスラエルが、核開発をめぐり攻撃を検討し、かつアメリカに対し、攻撃をそそのかしている。従って、明日にでも戦争が始まる、状態にあるのだ。

 トルコはいまシリアとは、戦争状態にあり、加えて、リビアへの派兵も検討している。ギリシャやキプロスとも、何時火が噴き出しても、不思議はない。

 ところが、それ以上に危険な状況が、トルコとイスラエルとの間で、始まっているのだ。トルコもイスラエルも、地域軍事大国であり、双方ともに最新の武器を、備えている。この二つの国がいま東地中海海底の、ガス資源をめぐり、衝突する状況にあるのだ。

 最初は東地中海キプロスの資源地域で、調査していたイスラエル船に対し、トルコが警告を発して退避させる、という事件が起こっている。その後まもなく、イスラエル側はトルコの探査船に対して、戦闘機を飛ばし警告したのだ。

 現段階ではまだ武力衝突には至っていないが、近い将来、武力衝突が起こる危険は、十分にあろう。東地中海の海底ガスは、北進するほど大量に、埋蔵されている、と言われている。従って、トルコもイスラエルも、何としてもそれを、抑えたいのだ。

 先日成立したトルコとリビアとの、領海合意はまさにそのことを、狙ったものだった。その合意の後、トルコ政府はこの合意を、各国は順守しなければならない、と述べると同時に、トルコの許可なくては、この地域で活動することは、出来ないと言っている。

 いまの段階は、トルコもイスラエルも、武力衝突には至っていないが、近い将来、双方が本気で、武力衝突に至る可能性は高かろう。止め役は誰かも,問題であろう。多分アメリカしか、止め役をやる国はなかろう。