『トルコは戦争で勝っているのか』

2019年12月16日

 トルコはいま、シリアと国内とで戦争状態にある。しかし、これはあくまでも、戦争状態になっている、という一般的な評価だけだ。確かに、シリアではSDFYPGとの戦争状態にあり、しかも、シリア軍とも戦争状態にある、IS(ISIL)ともしかりだ。

 しかし、シリア軍との交戦では、シリア側からもトルコ側からも、戦死者の報告は、皆無に等しい。

 クルドのSDFYPGとの、戦闘でもしかりだ。またIS(ISIL)との戦闘でも,死傷者に関する報告は、出てこない。まあIS(ISIL)の場合はほぼ全面敗北、ということらしいので、問題視するべきでは、無いのかもしれない。

 トルコ軍と政府は、勇ましい宣伝をしているのだが、本当であろうか。これに加え、トルコ政府はリビア政府の要請があれば、リビアにも派兵する、と言っている。リビアのセラジ首相が、イスタンブールを訪問し、その話が詰められるのではないか。 

 それが実現すれば、トルコ軍はシリアでもリビアでも戦うことになり、イラクの山岳地帯カンデル・マウンテンにある、トルコ・クルド(PKK)に対しても、空爆を繰り返している。

 しかし、冒頭で書いたように、トルコ軍は実は、いずれの戦線でも、本気では戦闘を展開して、いないのではないか、と思えてしょうがない。ドラムを叩き、ラッパを高らかに、吹くことによって、オスマン帝国の亡霊を呼び戻し、敵を恐怖に陥れて、いるのではないか。

 それならば現状に、納得がいくのだが。最近ではトルコに限らず、アメリカもまた、恫喝戦法を採っている。あたかも明日にでも、軍事行動を起こすように相手を脅し、実は何もしないのだ。その側面でアメリカは、経済戦争を実行している。

 敵側はこのアメリカの2正面作戦に驚き、経済戦争で敗北を認めることにより、実戦には至らないように、対応しているようだ。この方が安くつく、という判断であろうか。

 だが、この脅し戦法もやがては、通じなくなるのではないか。イランなどは初めから、アメリカには実戦を仕掛ける、度胸など無いと判断し、なめ切った対応をしている。だが、イランは油断はしておらず、武器の開発を着実に、進めているのだ。

 トルコもアメリカ同様に、近い将来周辺諸国から、恐れるに足りず、という判断を、下されるのではないか。そうなると,状況は一変し、今度はトルコが周辺諸国から、脅さされることに、なるのではないか。

 アメリカもだが、最近では傭兵を使って戦争することが利益と考え、トルコも傭兵(自由シリア軍=FSA)で対応している。だが、それは金がかかるのだ。