『トルコ米はインジルリク空軍基地から出て行け』

2019年12月13日

  トルコのチヤウショール外相は、思い切った発言をしたが、この発言は今後、トルコとアメリカとの関係を、大分まずいものにする、危険性がある。なんと彼はアメリカに対して、NATOの共同空軍基地となっている、『インジルリク空軍基地から出て行け。』と言ったのだ。

  このインジルリク空軍基地は、アメリカ空軍が長期間、使用していたこともあり、軍事施設に加え、軍人の滞在にも、最適の状態に整えられていたのだ。この基地があることによって、NATOはもとより、アメリカ空軍は中東地域と、ヨーロッパの南岸の防衛を、完ぺきなものにすることが、出来ていたのだ。

  もちろん、何の理由もなくチヤウショール外相は、アメリカ空軍に『インジルリク空軍基地から出て行け。』と言っているわけではない。トルコとアメリカとの間には、トルコがロシアからS400ミサイルを、輸入することを機に、アメリカはパトリオット・ミサイルのトルコへの輸出を止めていたし、F35戦闘機の輸出も止めていた。

  その後トルコは断固として、アメリカの要求を拒否し続け、ロシアからのS400ミサイルの、輸入交渉を進めた。これはアメリカの激しい怒りを買い、その後、アメリカは強硬なトルコ非難を続け制裁をちらつかせてきていた。また、アメリカで訓練を受けていた、F35パイロットの訓練が中止され、整備員の訓練も中止され、帰国させられている。

  このことが原因で、今回チヤウショール外相は、アメリカがそうした要求を、押し付けてくるのであり、トルコを制裁するというなら、トルコはアメリカ空軍に対して、インジルリク空軍基地から出ていくよう、要求すると言ったのだ。

 アメリカ政府は『S400ミサイルの導入はNATO の規格に合わない。』と難癖をつけているが、そうは思えない。つまり、アメリカの難癖は難癖であり、正当な理由にはなっていないのだ。

 チヤウショール外相はロシアから購入した、S400ミサイルは自国防衛のため以外の、何物でもないと言っている。最近になって、トルコ政府はアメリカがF35戦闘機を、輸出しないのであれば、ロシアのS35戦闘機の輸入を、検討すると言っているが、ロシアとトルコとの間の、S35戦闘機をめぐる交渉は、既に始まっているものと思われる。

 トルコは何故ここまで、アメリカに対して強気の発言を、しているのであろうか。それは、ロシアとトルコとの関係が、大分緊密になっていることから、来ているのではないか。もし、軍事的な緊張が、トルコとアメリカとの間で発生すれば、ロシアが軍事、外交両面から、トルコを支える意向がある、ということであろう。

 いずれにしろ、これは最もきな臭い、状況と言えるのではないか。トルコはリビアにも、セラジ政府を支えるために、軍を派遣する用意がある、と言っている。シリアには既に、トルコは軍を、派兵しているのだ。