『イラン・イラク関係年末の大推理』

2019年12月 9日

 

 イランとイラクは、イラクのサダム・フセイン体制が、打倒された後、イラクはシーア派政権となり、イランとはきわめて良好な関係にあったし、基本的にはいまでも、その良好な関係に変化はあるまい。

 しかし、ここに来て見過ごせない事件が多発し、両国関係に亀裂が、走るかもしれないと、懸念される。それはまず両国で大規模デモが続いていることだ。イラクの場合もイランの場合もデモの理由はそれほど大袈裟なものではないのだが、大規模化し長期化している。

 イラクでは全域で起こっているし、イランでも当初は、同国南西部で始まったものが、遂に首都テヘランにまで、及んでいる。ここでも全国的な規模のデモに、様相を変えているのだ。

 イランから出ているニュースや、政府発表が気になる。イランのデモ発生元は、南西部フーゼスタン地域であり、ここの住民のほとんどは、ペルシャ人ではなくアラブ人だ。従って何かと差別を受けて来たし、その為に政府に対する不満は、常にあった。

 なかでも、イラン・イラク戦争時サダムフ・セイン政府は、フーゼスタンの住民がアラブ人であることから、『イランのアラブ人を解放する。』と利用した。そのために、益々フーゼスタン住民への差別は、拡大したものと思われる。

 イラン政府はそうした歴史的な理由もあり、フーゼスタン地域のデモは、外国の関与と語り、彼らは3000万ドルのキャッシュを、外国から受け取り、イラン国内で反政府デモで、ばら撒いたと非難している。その金の出元はサウジアラビア、ということのようだ。

 この後、イラクでは宗教指導者たちが、攻撃を受けるということが、デモの中で起こっている。サドル師の場合はドロ-ンによる攻撃が、彼の自宅に向けて行われた、と言われており、サドル師が最近では反イランの立場をとるようになったからだ、と説明されている。しかし、それは嘘であろう。

 このためイラクの住民は、イランに反発する者が出始めており、今後、その数は増えていこう。その結果、これまで良好だったイラン・イラク関係は悪化していくのではないか。

イランの場合は外国によるデモの扇動、そして資金供与。イラクの場合は聖職者への攻撃の裏にはとんでもない陰謀が働いているのではないか。

 イラクのバアス党残党がフーゼスタンにサウジアラビアから得た資金を持ち込みデモを先導しているのではないか。それに反発したイランがイラクの宗教指導者を攻撃とあるがそれは嘘で、宗教指導者あ血を攻撃しているのは同じバアス登院ではないのか。

 結果的に、イラン・イラク関係は悪化し、その中でイラク政府はアメリカ軍に支援を要請することになり、アメリカ軍は今のような、嫌米の環境の中ではなく、親米の環境の中で、居座り続けることが、出来るのではないのか。

 イラン政府はこうした一連の作戦は、イスラエルが計画を立て、アメリカが支援し、サウジアラビアが資金を出して、行っているとみているようだ。さもありそうな話ではないか。もし、その通りであるならば、イラクは完全なアメリカの支配下に、置かれバアス党の復活もありうるということだ。他方、イランは中東地域で孤立し弱体化して行く、ということであろう。そんなことを目論んでいる国はあろう。