『地雷に囲まれているトルコ』

2019年12月 4日

  昨夜寝ながら考えたのだが、エルドアン大統領はしぶとく、今も生き残っている。それでは今のトルコは、何の問題も抱えていないのか、というとそうではない。まさに内憂外患の中にあるのだ。

 トルコはアメリカとの間に、ロシア製ミサイルS400を巡り、対立したままになっている。このためトルコはアメリカの、F35を買えないでいるし、パトリオット・ミサイルもしかりだ。ただこの問題は、F35100機買うという、大型取引のために、アメリカにとっても痛い話であろう。

  次の問題はシリアをめぐるものだが、トルコはアメリカが支援する、クルド・ミリシア(SDFYPG)を、テロとみなし戦っているが、アメリカにとっては不愉快な話であろう。また、そのトルコ側のシリアへの越境による攻撃と、安全地帯構築は、場合によっては、アメリカが占領している、シリアの石油地帯を奪われることに、繋がるかもしれない。

 最近になってトルコはアメリカの盟友である、イスラエルをことさらに、非難するようになってきている。それは、ガザへの攻撃の激化と、西岸地帯への入植の増加をアメリカが支援しているからだ。

 これらのことだけでも、アメリカを十分激怒させることが出来るのだが、アメリカが敵視するイランと、トルコは良好な関係を維持しているし、その後ろにいるロシアとの関係は、どんどん良くなっている。

 トルコはアメリカがF35の輸出を、渋っていることから、ロシアのS35を輸入する交渉を、始めている。そうなればアメリカはトルコという、大口兵器購入者を、逃すことになってしまうのだ。ところがトランプ大統領は、性格的にエルドアン大統領には、頭を下げたくない。それでアメリカトルコとの関係は、こじれにこじれてしまっているのだ。

 トルコはヨーロッパとの関係でも、シリア難民の大量放出を武器に、金をせびっているのだ。もちろん、ヨーロッパ諸国はそう簡単には、金を出すつもりはないようだ。つまり、トルコはヨーロッパからもアメリカからも、毛嫌いされているということだ。

 トルコの経済は外国からの、借入金で回っており、それが止まれば一気に、国家が破産する状態にある。これまでは高金利で、外国から金を借り入れていたが、高金利ではトルコの企業が、成り立ち難くなってきている。

 そこでエルドアン大統領は、利引き下げを命令しているが、うまくいくかどうかは、分からない。トルコの国内はと言えば、高失業率(10パーセントを超える、若者は26パーセント以上であろう)、高金利(14%以上)、高インフレ(10・56%)といった状態だ。

 これでもトルコで暴動が起こらないわけは、エルドアン大統領の強圧統治の結果だというのだ。若者はデモをすれば、逮捕投獄され、そこでは拷問が待っているという、不安を抱えていて、動きだせないというのだ。

 同様のインフレ、失業、政府役人の汚職などで、イランでもイラクでもデモが激化し、多数の死者が出ている。この裏にはどうも、アメリカの影がちらつくのだがどうか。アメリカはトルコも、追いつめるところまで追い詰め、トルコ国民を暴発させる気なのかもしれない。それが何時かということは分からないが、もし、起こるとすればそう遠い、未来ではあるまい。