『イラクナジャフのイラン領事館攻撃』

2019年12月 2日

 

 イラク南部のナジャフにある、イラン領事館が暴徒に襲撃され、放火された。この出来事は、イランとイラクとの関係を、難しいものにしている。一体誰がこの放火を指揮したのであろうか、ということに対する答えは、場合によっては、イランとイラクとの関係を、悪化させる危険性がある。

 

 1127日に起こった暴動は、ナジャフのイラン領事館を、火の海に包むこととなった。元々、イラクの国民はシーア派が圧倒的に多い国だ。イラク国民の総数は4600万人程度であり、そのうちの3000万人は、シーア派だと言われている。

 

 しかも、ナジャフはカルバラと並び、シーア派にとっては、宗教的な聖地になっている。そのためこの地で、イラク人による暴動が起こることなど、考え難いことなのだが、実際には、その起こるべきでないことが、起こっているのだ。

 

 イランのプレス・テレビの、報じるところによれば、今回のイラン領事館に対する放火は、CIA

の命令に従ってイラク人が、行ったものだということだ。その真偽のほどは分からないが、ありうる話ではあろう。

 

 イラクのスンニー派国民の数は、シーア派に次いで第二位だが、彼らのなかには、イランに対する反発や、シーア派に対する、反発感情はある。それは、イラン政府のイラク政府に対する、影響力が強くなり過ぎているからだ。そうしたことから、彼らがイラン領事館に放火した、と考えることに、無理はあるまい。

 

 つまり、次第に強化されている、イランのイラクに対する、影響力を前に、イラのスンニー派住民の間に、不満が高まっていた。そのことをアメリカは利用して、イランとイラクとの関係悪化を、図ったのであろうということだ。

 

 アメリカはホット・ウオー(戦闘を伴う戦争)が、出来なくなり、もっぱら経済戦争や国民の反政府を煽る、という手段を取っている。今回のナジャフ放火は、その一部かもしれない。イランでも同じような、反政府暴動が続いているし、他の中東の国でも、何時起こるか分からない。