イランでは西部地域を中心に、イラン政府に対する、反対デモが続いている。デモの発端は、ガソリン価格の引き上げにあったが、あまり意味をなしていないだろう。もちろん、バスや電車と言った、公共交通機関が不備であり、移動手段の少ない国では、車による移動が便利であり、各家庭には車があり、それで移動している。そのため、ガソリン代の値上げは、家族全部に影響する、重要な社会問題であろう。
発生し、拡大しているデモは、外国の陰謀によるものだ、 イランの西部は主に、アラブ人やアゼルバイジャン人が、居住する地域であり、これまでもイラン人(ペルシャ人)とは、差別されていたことが、デモ発生の底辺にあったのだ。ところが、ガソリン代の値上げは、イラン西部だけではなく、東部や首都テヘランにまで、拡大していったのだ。
イラン西部のホーゼスタンの住民は、全員がアラブ人であり、イラン・イラク戦争時には、イラク側に立ったこともあった。当時のサダムフセイン大統領は、アラブ人を解放すると言っていたのだ。それも一理無いわけではないのだが。
当然のことながら、デモが暴動に近い、危険なものになって行ったために、イラン政府は警察や軍を投入して、取り締まりを強化していった。そのなかで、6人の外国人(?)が逮捕されることになり、彼らの背後は、誰がいるのかということが、問題になった。彼らはテヘランの西部の街、ロバト・カリムで逮捕されている。
イランではこれまでも、イラン国内でデモを煽っているのは、外国勢力だと言われていた。当然のことながら、現在のアメリカとイランとの関係悪化から、その国はアメリカであり、その機関はCIAだ、とされてきていた。
確かに、イラン国民ではやらないような、破壊活動がイランのデモでは、起こっている。例えば多数の銀行が、放火されていることや、公共建物への放火が、起こっていることなどだ。そのため、軍や警察のデモ対策班は、銃器や他の武器を、使用し始めており、100人を超える死者が、出ている。
政府側の危険な外国人(?)の取り調べの結果、彼らはMKO(ムジャーヒデーン・ハルク組織)と関係がある人物たちだということが分かった。彼らは十分な訓練を受けた後に、デモに参加し、破壊活動をしていたということだ。
ムジャーヒデー・ハルク組織は、ホメイニ革命当時は、反体制側の重要なメンバー組織であったが、後にイランの体制側から敵視され、イラクなどに逃れている。つまり、ムジャーヒデーン・ハルクは完全に、反イラン体制の組織であり、戦闘集団なのだ。
これに対して、イラン政府が強硬手段を取ることは、アメリカなどによって、人道名目で非難されるべきでは、無いのではないか。人道名目でイランを非難するアメリカは、実はこの暴力的なデモを、煽っている側なのだから。
アメリカは武器を使った戦争を止め、最近ではもっぱら経済制裁を加えて、敵対国に弾圧を加えている。今度はそれに加え、デモを先導するという手段に、出ているということだ。