『トルコ軍北シリアで攻勢』

2019年11月25日

  トルコ軍は北シリアのラッカ付近で、戦闘を開始している模様だ。シリア政府の発表によれば、トルコ軍がクルド・ミリシアのYPGに対する、攻勢を始めたということだ。トルコ軍による攻撃は、ラッカの北45キロの街、アイン・イッサに対して行われ、住民に対する被害が報じられている。

 

  トルコ軍の攻撃は相当激しいようで、アイン・イッサの街はトルコ軍によって、包囲されており、住民の多数が犠牲になり、インフラも破壊されている、ということだ。このラッカはかかって、IS(ISIL),がイスラム国家の首都、と定めていた場所なのだ。

 

  トルコ軍はラッカに近い、ラース・アインに軍事基地を設立しており、攻勢を強めていく方針であろう。これはクルド・ミリシアによる、トルコ領土内への攻撃を、阻止するためのものだ。述べるまでもなく、YPGはトルコ国内の、PKK(クルド労働党)と、連携関係にある組織だ。

 

 今回トルコ軍が攻勢に出た裏には、ロシアやアメリカに対する、不満があったからだ。トルコにしてみれば、これまでにロシアやアメリカと交わした、クルド・ミリシア対応の合意が、全く実施されていないことに対する、怒りがあったからであろう。

 

 トルコ軍によるクルド・ミリシアに対する、攻撃が拡大すれば、それはシリア軍にも脅威を与えるものであり、アメリカはククルド・ミリシアへの撃に怒り出そうし、ロシアも不満を抱くことになろう。ロシアはシリア政府を擁護しており、現在クルド・ミリシアとシリア政府が、ある種の協力体制を、模索し始めているからだ。

 

 トルコの今回の北シリア地域に対する、軍事攻勢は、こうしたアメリカ、ロシア、シリア、クルド・ミリシアの思惑に反する、行動ということになる。そのことはこれらの国々と、トルコが、今後難しい立場に立たされていく、ということが予想される。