尊属殺しということが普通になったアラブ』

2019年11月18日

最近の、アラブ諸国で起こっている内戦は、同じ国の人間同士が殺しあう、というケースが増えている。ほとんどの内戦がそうではないか、と思えるのだがどうだろうか。これまでの戦争のイメージは、外国の軍隊が攻め込んで来て、起こっていた。
従って、この外国の軍隊と戦うことは、愛国のための自己犠牲であり、素晴らしいこととされていたのだが、最近はそうではない。昨日まで、隣同士に住んでいた者同士が、殺しあうのだ。
古くはスーダンの内戦がそうだった。もちろん最初の段階では、南部のアフリカ系人種と北部のアラブ系人種の戦争だった。しかし、それが最近では、北部のアラブ系スーダン人同士が、殺し合いをしていた。
その主因は大統領の汚職、職権乱用、富の不公平な分配、公共サービスの欠如といったことだ。それはリビアの場合も、似通ったようなものだ。リビアの場合は東西で対立し、西側の政府はセラジ首相を立て、東側はハフタル将軍を立てて、もう大部長い間殺し合いを、続けている。
国連が動いたり、アラブ諸国が関与しているが、全く効果はない。アラブやトルコなど、外国が一方に支援を送っているから、長続きしているのだ。その結果、アフリカで最も豊かな国家、とされていたリビアでは、国民がパンを入手する事すら、難しくなっているのだ。カダフィ大佐は天国で、大笑いしているのではないか。
シリアもしかりだ。シリア国内の内紛も長期化し、アメリカが介入して、めちゃくちゃになった。それにトルコまでが首を突っ込み、ロシアだけがまともに、アサド政権擁護のために戦って、何とかシリア国内に秩序を、回復しようとしている。
レバノンもしかりであり、イエメンもしかりだ。そして最近では、イラクやイランでも、国民の不満が爆発し、デモが長期化し、その対応で政府軍や警察が、国民を殺す状態になっている。
これは偶然のことなのか、あるいは外国による、陰謀の結果なのであろうか。確かなことは、いずれの国の紛争でも、外国が背後にいることは、確実なようだ。レバノンやイラクの場合はアメリカの影がちらつくし、イランの場合も同様であろう。
 イエメンの場合はアメリカとイランが,間接的に戦っている感じがする。スーダンの場合は当初、イギリスの関与がささやかれていた。リビアはトルコ、イタリア、フランス、イギリス,アメリカと複数の国が、関与している。それにアラブ首長国連邦やカタール、エジプトも関与しているのだ。
 これでは問題の解決は無理に近いのではないか。ある程度の国民が、犠牲になった後でなければ、話はつくまい。そこで犠牲を担うのは、ほとんどが権力と関係の無い、一般市民なのだ