『イラク・レバノン内紛だが悪口はアメリカへ』

2019年11月15日

  いまレバノンとイラクでは、毎日デモが起こっている。何処でもそうだが、デモの原因は役人の汚職と失業、社会サービスの欠如などだ。つまり、簡単に言ってしまえば、庶民の生活が苦しい、ということだ。

 

  イラクではモクタダ・サドル師が、原因はアメリカの介入にある、とアメリカ非難を展開している。それは正解なのだが、もう一つの正解がある。それは、イラク政府がイラン寄りであり、イランの強い関与を受けている点にある。しかし、モクタダ・サドル師はイランの弟子であり、イランの悪口は言えない。

 

  大正解は『アメリカとイランの介入にある。』というものだと思うのだが。アメリカはシリアから全面撤退する、とトランプ大統領が豪語したが、その後はシリアの石油を盗むために、居直っている。それはIS(ISIL)に、活動のチャンスを、与えるということでもあろう。

 

  なぜならば、アメリカ軍がシリアに勝手に入り込んだ、(正当?)な理由はIS(ISIL)の掃討にあるのだから。IS(ISIL)が鳴りを潜めてしまっては、アメリカはシリア占領の、正当性が無くなるからだ。そこで最近はクルド人保護、とも言い出している。

 

  イランはイランでサウジアラビア包囲網の、一部がイラクなのだ。イラクはシーア派が多数を占めており、現実に政治を動かししているのは、シーア派国民だ。この国にイランは強い影響力を及ぼし、レバノンやイエメンと合わせてサウジアラビアを包囲する作戦なのであろう。

 

  しかし、イスラエルが勝手に、イラン脅威論を打ち出したため、イランの中東地域での活動は、イスラエル攻撃に目的がある、とされているのだ。これはイランにとっても、イスラエルにとっても、好都合であろう。

 

  先日イエメンの二派が、和平に合意という、ニュースが流れたが、そのニュースには特別な意味はない。あれはサウジの失敗を、覆い隠すものでしかないのだ。サウジアラビアの本当の敵は、ホウシ・グループであり、ホウシ・グループはイランから、全面支援を受けている組織だ。サウジアラビア王家は、こうしたイランの包囲網によって、やがて打倒されることであろう。

 

  レバノンでもデモが起こっているが、ここでもアメリカの介入が、やはり騒がれている。前述のように、イランによるサウジアラビア包囲網が、完成したのでは、アメリカのサウジアラビアから得られる利益は、消えるのだ。

 

  それでアメリカはレバノンやイラク、そしてイエメンで反政府デモや軍事行動を、やらせているのだ。しかし、そうしたアメリカの工作は、早晩失敗するのではないか。あまりにもずさんな計画と、情報分析がアメリカの対外戦略の、足を引っ張っているからだ。