『バグダーデイの後継者という冗談』

2019年11月 1日

イスラム国のカリフとして君臨した、イブラーヒーム・アルバグダーデイが、アメリカ軍の攻撃によって、惨殺された。彼はイラク出身のアルカーイダの、メンバーだった。そして、アメリカに取り上げられ、IS(ISIL)を組織建てていき、たちまちにしてシリアとイラクの、3分の1ほどの地域を、支配下に置いた。

  IS(ISIL)の手法は残忍であり、いままでに数千人あるいは数万人の、無垢の人たちを殺したのではないか。それは、敵に恐怖心を与えることにより、支配を容易にする、という恐怖政治だった。

  確かに、その方式は成功し、多くの住民は抵抗意欲を失い、彼の恐怖の支配下に、置かれた。だが、そのIS(ISIL)組織とバグダーデイにも、最後の時が来た。それはアメリカではなく、ロシアの登場によるものだった。アメリカとIS(ISIL)との関係は、親子のようなものであり、アメリカによってIS(ISIL)が撲滅される,ということはあり得なかったのだが、シリア政府がロシアに支援を依頼し、ロシア軍がシリアに入ると、たちまちにしてIS(ISIL)はロシア軍によって、追い込まれていった。

 その結果、バグダーデイはシリア各地を、逃げ回っていたが、今回はアメリカ軍によって、殺されたということだ。私はこのニュースを、ほとんど信用していない。アメリカはハリウッド映画よろしく、派手に攻撃をかけバグダーデイを、バラバラにして殺し、それを海に捨てたというのだ。

 アメリカの大統領であるトランプは、そのことを誇らしげに語り、愚かなアメリカ国民の多くが,それを信じたようだ。そのアメリカ大統領と、彼の言葉を信じるアメリカ国民には,人間の心など無いということであろう。

 さて、華々しいトランプ・シヨウが終わり、IS(ISIL)はバグダーデイの後継者を発表した。彼の名はアブ・イブラヒム・アルハシェミ・アルクライシュだということだ。このクライシュという苗字は、預言者ムハンマドの家系なのだ。そのことによって、IS(ISIL)は新しいカリフとなった、アブ・イブラヒム・アルハシェミ・アルクライシュに、重みを持たせたのであろうか。

 彼の顔写真は公表されていないし、彼の略歴も公表されていない。いま分かっているのは、彼がジハーデストだということだけだ。さて、この新カリフの下に、今後IS(ISIL)はどんな活動を、展開して行くのであろうか。

 アメリカの情報によれば、IS(ISIL)はいまだに、14000人から18000人のメンバーを抱えており、そのうち3000人は外国人だということだ。資金もいまだに、潤沢にあり困りはしない。そして戦場も北アフリカ諸国から、中央アフリカ諸国、中央アジア諸国、そして東南アジア諸国と広がろう。そこでもまたIS(ISIL)は、斬首を続けるのであろうか。