『トランプ大統領の中東大変革』

2019年10月31日

 

  トランプ大統領はとんでもないことを、考えているのかもしれない。一つは、仲良しと言いながら、イスラエル国家を、撲滅させる気ではないか、ということだ。その第一歩は、アメリカによる大使館のテルアビブからエルサレムへの移設だった。しかし、その非難を受けるのは,イスラエルであり、イスラエルが世界から顰蹙を買うになったのだった。

  そしてもう一つは、トルコ領土の分割と、クルド国家の樹立だ。トランプ大統領はシリアから、アメリカ軍をほぼ撤退させ、クルド人を放置し見殺しにした、と非難されている。しかし、トランプ大統領は部分的には、アメリカ軍をシリアから、撤退させたものの、まだしっかりと、残留させている。加えて、シリアから撤退したアメリカ兵が、いま駐留しているのは、シリア国境に隣接する、イラク領内なのだ。

  加えて、アメリカ軍撤退の前には、大量の武器弾薬を、クルド側に渡してある。当分の間、クルドはトルコとの戦闘が可能な量の武器弾薬を、入手したということであろう。また、ユーフラテス川東岸の石油地帯では、アメリカに並んでクルドも、石油を盗掘しており、それをイスラエルに売っている、ということだ。つまり、クルド側はこれで一定の軍資金を、手に入れることが出来る、ということだ。

 トルコはシリア領内縦34キロ、横400キロを超える、安全地帯を創るとし、占領を始めているが、それは当然、シリアの国益に反することであると同時に、クルドにとっても不都合な話だ。シリアにロシアが加担し、露土戦争が起こりそうだし、戦争は大規模になるのではないか。

 このトルコ軍のシリア侵攻は、トルコ国民とエルドアン大統領に、オスマン帝国の復活を、期待させているが、結果的にトルコは敗走し、トルコ国内ではクルドによるテロが頻発しよう。戦線はシリア領土内だけではなく、トルコ国内にも広がり、最後にはトルコが敗れるのではないか。その後には、トルコの東部領土5分の1を割譲させ、クルド国家が出来上がるのではないのか。

 このクルド国家には、アルメニアの領土の一部も組み込まれ、クルド国家は黒海に面した、海岸線も確保しよう。そうなれば、懸案であったアメリカのロシアに対抗する、黒海沿岸の海軍基地が、誕生するということだ。

最近、トルコのシリア侵略は、サイクス・ピコ条約を塗り替える行為、という話が出ていたが、まさに中東大変革であろう。その大博打を、トランプ大統領は打ち始めている、ということではないのか。今回書いた話は、嘘が半分、本当が半分だ、と思って読んでいただきた。