『アメリカとロシアは二重の顔か』

2019年10月24日

   アメリカとロシアが国際問題の、仲介に取り組んでいる。アメリカはエジプトとエチオピアの間で起こっている、ダム建設と水の配分の問題の、仲介に取り組んでいる。もし、この問題が大きくなっていけば、ダムの破壊もありうるわけであり、その事は甚大な被害を、エジプト側に生むということだ。

 

  他方、ロシアはトルコとシリアの、クルド・グループとの仲介を進め、一応、トルコとクルド・グループの停戦は成立したようだ。しかし、アメリカの仲介もそうだが、ロシアによる仲介も、極めて脆弱なものであり、それが真の成功に繋がるか否かは、いまだ不明だ。

 

 アメリカのトランプ大統領は、ロシアの仲介の成果を評価し、トルコに対する経済制裁を、取り止めると言い出し、トルコのアカル国防相は、クルド・グループとの再度の、戦闘は必要無い、と言い出している。

 

 しかし、どうも信用出来無い部分もある。例えば、アメリカはシリアのホワイト・ヘルメットに対して、420万ドルの支援を送っている。このホワイト・ヘルメットは表面的には、人道支援組織とされているが、実際はアメリカの戦争マシーンの、歯車の一枚に過ぎない。

 

 アメリカは自分の手を汚すのではなく、こうした組織を使って代理戦争と、挑発を行っているのではないのか。シリアが化学兵器を使って、住民を攻撃している、という偽旗作戦は、ほとんどがこのホワイト・ヘルメットによって、でっち上げられていたのだ。

 

 ロシアとてあまり誉められたものではなかろう。これまでアメリカの支配下に置かれていた、中東諸国の切り崩しを進めているし、ロシア製兵器の輸出も進めている。トルコはまたロシアの、S400ミサイルを購入する交渉を、始めているのだ。

 

 ロシアは兵器輸出や、平和への仲介努力の結果、大分、中東諸国の印象を良くし、同地域諸国への影響力を拡大している。CNNなどは『プーチンの夢が、現実に向かっている。』と書いているほどだ。

 

 天使の顔と悪魔の顔のマスクを、アメリカもロシアも使い分けている、ということであろうか。