『中東短信』

2019年10月20日

 

:トルコ軍が化学兵器使用

 

 クルドがトルコ軍による、化学兵器の使用を、非難している。クルド側の語るところによれば、使用された化学兵器は、ナパーム弾と白燐弾だということだ。クルド側はトルコ軍が使用できる、あらゆる武器を、使用している、ということのようだ。

 しかし、イギリスに本部を置く人権団体は、トルイコ軍による化学兵器の使用は、確認できていない、ということだ。これに対して、クルド側は子供が化学兵器で、火傷をしている映像を、流している。

 もちろん、トルコ政府は化学兵器の使用を、全面否定し、クルド側を非難している。これまで、シリアでは何度も化学兵器使用の、嘘情報が流されているが、それはシリア軍による使用、という嘘だった。今回もそうではないのかと思えるのだが、確証はない。

 

:中国とイラン関係がアメリカを悩ませる

 アメリカはイランに石油を、一滴も輸出させない、経済的に締め上げる、と言い続けてきたが、ここに来て、そのアメリカの鉄の壁が、壊されつつあるようだ。それは、中国がイランの石油を、堂々と輸入するように、なってきたからだ。

 中国のズハイ・ゼンロンという会社が、イランの石油を輸入しているのだ。中国はアメリカのイランに対する、経済制裁を完全に無視している、ということだ。中国は石油タンカーの経路を、登録しないで石油を運搬している、ということのようだ。

 これではアメリカのイランに対する、経済制裁は何の効果もなくなろう。ヨーロッパ諸国もイランの石油購入と、経済協力に新たな資金移動の仕組みを、作っているところでもある。

 それだけ、イランは世界の国々にとって、大きな取り引き先であり、メリットの大きい相手だ、ということであろう。こうした情況を前に、それではアメリカは中国のタンカーを、攻撃できるかというと、そうも行くまい。

 また、海上で中国のタンカーを、拿捕しようものなら、米中関係は緊張し、一触即発の状態になろう。いま選挙を控えた、トランプ大統領にはそこまで、中国との関係を、悪化したくはあるまい。