『トルコ・シリア国境の安全地帯とISの実態』

2019年10月19日

  トルコとシリアの国境地帯では、IS(ISIL)はどうなっているのであろうか。トルコはこの国境地帯に、安全地帯を設立することによって、クルド・ミリシア( SDFやYPG)のトルコへの侵攻を、阻止しようと思っていることに合わせ、IS(ISIL)の侵攻も、阻止しようと考えている。つまり、一石二鳥という作戦だ。

  そのトルコの考えている安全地帯とは、南北に30キロ、東西400キロににわたるものだ。そこにトルコから360万人のシリア難民を、押し戻すということだ。トルコは東西の安全地帯は、最終的には444キロに拡大したい、と考えている。

 トルコはシリア北部の、コバネやマンビジュも、そのなかに含みたい考えだが、現在コバネもマンビジュも、シリア軍が支配しており、それにはSDFも共同行動を、取っているので、容易ではあるまい。

 アメリカはといえば、これまで何度も、トルイコと交渉し、合意に達したとはいえ、確実なものにはなっていないので、極めて脆弱なものとなっている。これではトルコは、アメリカと共同行動を取るのは、困難であろう。

 シリア政府はといえば、300万人を越えるシリア難民を、この安全地帯に押し戻すことは、不可能であろうと見ている。それはこの安全地帯が、人間の居住に必要な条件を、満たしていないからだ。

 IS(ISIL)はといえば、12000人の戦闘員が、未だにシリアの留置所に、留まっており、そのうち2500人はシリアやイラク国民ではない外人部隊だ。IS(ISIL)戦闘員の国籍は、50カ国を超えているということだ。

 これら外人戦闘員は、チュニジア人が最大であり、次いでフランス国籍の60~70人、それ以外は各国に散らばっている。シリアやイラクの戦闘員は、それぞれ4000人と見られている。

 彼ら戦闘員はロジェ、ダシシャ、ジェルキン、ナブクル、カミシリ、デリクなどの留置所に、収容されているが、SDFが詳しい情報を明かしてはいないので、把握は難しい。留置所の警備は甘く、逃亡が可能な状態にあり、これまでも数千人が逃れている。留置所内の状態は、最悪であろう。食料や医療も不足しているようだ。