『露イランが米より上手なトルコ対応』

2019年10月17日

   どうもここに来て、アメリカのトルコ対応に、問題があるような、気がしてきた。アメリカはいつも通りの、高飛車な命令口調で、エルドアン大統領に、対応しているのだが、エルドアン大統領はトランプ大統領の、いまいる位置をよくわきまえている。

  トランプ大統領は来る大統領選挙に備えて、国民を戦争に駆り立てたくはない。せいぜい、傭兵を使うか、空爆する程度であろう。しかし、トルコはそのアメリカの傭兵(SDFYPG)と、いま戦っているのであり、空軍もトルコのパイロットに勝てるか疑問だ。

 結局、エルドアン大統領はトランプ大統領の、大口叩きを完全に無視する、立場をとっている。そうしたなかでトルコに送られた、ペンスとポンペオ特使は、みじめなものだった。エルドアン大統領はトランプ大統領と以外は、話さないとこの特使とは、会いもしなかったのだ。

 また、エルドアン大統領は『この戦争は止めない。』とも言っている。それはトルコの安全に、直接かかわっているからだ。そのあたりをよく分っているロシアは、『トルコには国防の権利がある。』と言い、イランのロウハーニ大統領も、トルコの立場に理解を、示している。

 こうなっては、アメリカには打つ手があるまい。『平和的に解決しろ。』『住民の犠牲を生むな。』と幾ら繰り返しても、意味をなさないのだ。遂に頭にきたトランプ大統領は『トルコとシリアの国境問題は、俺達には関係ない。』と言い出したのだ。

 大人げないでは済まされない、投げやりな言葉は、ヨーロッパ諸国もうんざりしているのではないか。トランプ大統領はエルドアン大統領を、放置するということは、武器の取引を意識してであろうか、とさえ考えたくなる。

 他方、ロシアはトルコとシリアとの武力衝突を、阻止するためにパトロール部隊を、両国の接点に送り込んでいる。トルコの側もシリアの側も、もし攻撃をするのであれば、ロシアはそれを放置しない、ということであろう。そのロシアの立場を、分かっているエルドアン大統領は、『シリアがマンビジュを支配することが、YPGSDFの掃討に、繋がるのであれば、構わない。』と言い出している。

 そもそも、今回トルコが強気で、シリア侵攻を進めたのには、トルコには絶対的権利が、あったからであろう。トルコの反政府クルド組織PKKと、連携するシリアのYPGSDFを、叩きたいということであり、それは何処の国も、認めることであろう。

 しかも、シリア難民の激増で、苦慮しているトルコは、トルコとシリアとの国境のシリア側に、安全地帯を設置して、そこに難民を押し返すというのだ。このトルコの考えに、ヨーロッパ諸国が賛成しなければ、トルコはヨーロッパとの国境を開き、何百万人というシリア難民を、ヨーロッパに追放することになろう。それは誰もが考えるように、ヨーロッパが大混乱に、陥るということだ。

 今回のトルコの始めたシリア侵攻は、結局、アメリカが中東外交の舞台から放り投げられ、それにロシアが代わったということであろう。もうアメリカの外交は、通用しなくなったのだ。