『プーチン大統領トルコ軍攻撃はISを逃がす』

2019年10月12日

      ロシアのプーチン大統領は、今回のトルコ軍によるシリア北部への、軍事侵攻は結果的に、いま拘束されているIS(ISIL)を、刑務所やキャンプから、逃がすことになる、危険性があると警告している。

 確かにそうであろう。一部にはSDFやYPGが、IS(ISIL)を刑務所から釈放し、トルコ軍に対抗させる意図がある、とも伝えられている。つまり、SDFやYPGはIS(ISIL)と連携して、トルコ軍に対抗する、ということだ。

 しかし、それが効果的であるかどうかは、いまの段階では分からない。単純に考えれば、今回のトルコ軍のシリア北部への軍事侵攻は、アメリカの軍部を激怒させている。従って、アメリカ軍がIS(ISIL)を、刑務所から逃すことにより、トルコ軍に対抗させるということは、ありうる話だ。

しかも、そもそもIS(ISIL)を創ったのは、アメリカであり、アメリカにとっては、SDFもYPGもIS(ISIL)も、アメリカにとっては、使い勝手のいい同じ道具であろう。また、IS(ISIL)はシリアの敵であり、そのシリアを支援しているのはロシアであることから、このプーチン大統領の発言の根拠は、充分にありうる話、ということになる。

そのため、IS(ISIL)がシリアの刑務所から脱獄し、アメリカの意向に沿って戦うことに、何の不思議も無い。その事を懸念して、プーチンは今回の発言を、したのであろう。もちろん、何の根拠も無しに、プーチン大統領がこうした、デリケートな問題について、発言することはあるまい。

もし、IS(ISIL)がSDFやYPGと連携して、戦闘に参加するなら、SDFやYPGは元気付くことであろうから、アメリカ軍の武器供与に合わせ、トルコ軍は苦戦するかもしれない。

今回のトルコ軍の、シリア侵攻によって、IS(ISIL)は新たな戦闘の機会を、得たという見方は、アメリカの専門家の間でも、ヨーロッパの専門家の間でも、言われている。そうなる可能性は、決して低くないということだ。