ここ数日の間トルコのエルドアン大統領は、何時でもシリアに軍を侵攻させることが、出来ると豪語していた。問題はシリアのユーフラテス川東岸には、アメリカ軍が駐留していることだった。
もし、トルコ軍とアメリカ軍が、衝突することになれば、多勢に無勢で、トルコが優位ということに、なるのではあろうが。相当のダメージを受けることも、覚悟しなければならないのだ。その事はアメリカ軍の側にも、言えることだ。
そうしたことを、考慮したのであろうか、トランプ大統領はここに来て、トルコ軍のシリアへの侵攻を認めたのだ。それだけではなく、その場合にはアメリカ軍を引く、とも言ったのだ。それは、これまでアメリカ軍を支援してきた、クルド・ミリシア(YPGやSDF)を、見捨てるということになる。
早速この点をめぐり、イスラエルからは懸念の声が、上がっている。アメリカはイスラエルを、最後には切り捨てるのではないか、という懸念が強まったからだ。以前から、一部からはトランプ大統領が、イスラエルを切り離すだろう、という観測が出ていた。
金の亡者であるトランプ大統領は、金食い虫のイスラエルを、切り捨てても不思議はあるまい、ということだった。そもそも、トランプ大統領が進めた、大使館をテルアビブからエルサレムへの移転は、世界の顰蹙を買い、アラブ諸国は激怒し、イスラエルは孤立色を、濃くしたのだ。
今回の、トルコ軍のシリア侵攻に対する、アメリカのグリーン・ライトは、何を狙ったものであろうか。ベトナム戦争の最後の時期には、それまでアメリカ軍と協力体制にあった、南ベトナム軍がやはり放置されている。そして、ほんの一部の軍と政府の関係者は、アメリカに移動することに成功した。
トランプ大統領はそれを、繰り返すことになるわけだが、それはアメリカの国際的な信用を、汚すものになろう。その取り返しは簡単ではあるまい。そうでなくとも、トランプ政権は世界的に、あまり評判がよくない。
さて、何やら得をした感じのトルコだが、トルコには何が待っているのであろうか。簡単に予測できるのは、経済が悪化するということだ。シリア領土を奪うと言っても、そんなことは国際社会が認めないだろうし、ロシアも黙ってはいまい、結局、骨折り損のくたびれもうけ。それは誰にも予測でき、トルコ・リラは下落しよう。
場合によっては、今まで達したことの無い、1ドルに対し8リラなどということも、あり得るのではないか。これ迄5.5~5.6リラ程度であったものが、今日は5.83リラまで下がっているのだ。
トランプ大統領のエルドアン嫌いは、有名な話だが、ここに来てトランプ大統領は、一石二鳥、クルドを潰し、トルコを経済崩壊させ、エルドアン体制を打倒する、ということかもしれない。