『ハメネイ師のご託宣は正しいだろう』

2019年9月18日

  イランの最高指導者であるハメネイ師が、アメリカの中東政策について、批判している。彼曰く圧力、つまり力による対応は、やがて敗北するだろう、というのだ。実はアメリカは既に、中東で後退気味の状態に、あるのではないかと思える。

アメリカは最大の友好国であったイランを、革命で失い、トルコも結局はシリア対応で、失いつつある。トルコが進めたがっている、アメリカのF35

輸入では、アメリカが拒否したため進まず、ロシアがその間隙を縫って、S35S57の売り込みに動いている。既にロシアのS400ミサイルが輸出されており、アメリカのパトリオット・ミサイルは、売れないのではないのか。このため、トルコとロシアとの関係は進み、その反対にアメリカとトルコの関係が、ぎくしゃくのレベルでは無いほど、異常な悪化の状態になっている。

トルコのインジルリク空軍基地を、アメリカはいま使えない状況に、あるそうだ。アメリカはシリア作戦で当然、インジルリク空軍基地を使いたいはずなのだが、トルコとの関係が悪化しているからであろう。いまアメリカが使っているのは、ヨルダンの基地であり、カタールの基地なのだ。

イスラエルとアメリカの関係も、今度の選挙結果次第で、悪化しそうだ。ネタニヤフ首相は結果的に、過半数を取れず、連立工作を進めるであろうが、それが失敗すれば、ガンツ氏が首相になりそうだ。

加えて、サウジアラビアを始めとする、アラブ湾岸諸国との関係も、次第にアメリカが信用を、失ってきているのではないか。サウジアラビアがイエメンのホウシ・グループに攻撃され、製油所が大ダメージを受け、そのためにサウジアラビアの石油生産は半減し、復旧も今後ホウシ・グループの攻撃が、繰り返されれば、危険で無理となろう。

サウジアラビア政府は12か月で、復旧という予想をしているが、半年一年後ですらどうか、という状態ではないのか。

今回のサウジアラビアの製油所攻撃で、アメリカの武器が役に立たないことが、明らかになった。確か、アメリカがサウジアラビアに売り込んだ武器の、合計代金は数千億ドルにも上るのだ。当然、サウジアラビア政府は今回の、製油所攻撃の後、アメリカ製武器に疑問を、感じ始めていよう。

そこで、プーチン大統領は『ロシア製兵器を買わないか。』とサウジアラビアに話を持ち掛けている。トルコがS400の購入に動き出したとき、サウジアラビアも

S400を買いたい、という動きをしていた。今回はそれに拍車が、かかることになろう。

トランプ大統領は今回のサウジアラビアの、石油施設攻撃後、『これはイランによるものだ。』と言ったが、何の具体的な証拠も示していない。

そして、トランプ大統領は彼の得意の脅しで、イラン攻撃を口にしている。だがアメリカの国防総省も、それには気が進まないようだ。戦争を始めたらアメリカが負ける公算が、高いからだ。

結局、アメリカは今回のホウシ・グループという、前近代的な組織の前に、太刀打ちできなくなっているということだ。恐竜の時代が終わったように、いまアメリカも世界の超大国の地位を、失う方向に動き出している、ということか。