『エルドアンがヨーロッパへの爆弾恫喝』

2019年9月11日

 

エルドアン大統領はヨーロッパ諸国に対して、危険な爆弾をもって恫喝し始めた。それはシリアを中心とした、難民の処遇だ。いまの段階では、トルコが300万人を超える、シリア難民を抱え込んでおり、難民に対する支援は、巨額に上るだろう。

 

 トルコ政府はこれまで難民を、トルコ国内にとどめ置くことと交換に、しかるべき経済援助を出すよう、要請してきた。これに対して、ヨーロッパ諸国は、しぶしぶ一定の額(30億ドル?)を提供すると言ったが、実際には極少額しか、出していないようだ。

 

 そこでここに来て、エルドアン大統領はもう我慢が出来ない、シリア難民をヨーロッパに行かないように、押さえておくのは止める、と言い出したのだ。エルドアンが実際にそうすれば、いまトルコに居る300万人のうちの、例えば10パーセントで30万人が、一気にヨーロッパに、雪崩込むということだ。

 

 そうなれば、ヨーロッパ諸国は難民に対して、住居、衣服、食料、毎月の生活の費用などを、出さないわけにはいかない。相当な額に上ることであろう。そうなれば、そうでなくとも苦しい、ヨーロッパ諸国の台所事情は、ますます苦しくなろう。

 

 トルコの代替え案は、同国とシリアとの国境に、安全地帯を設置し、そこに難民を戻す、という考えだったが、これにアメリカはあまり積極的ではない。それはシリアのクルド・ミリシアの、今後のトルコに対する活動の、邪魔になるからだ。

 

 アメリカも安全地帯の設置に、賛成と言いながらなかなか重い腰を、上げないのだ。やっと最近になって、安全地帯に対するトルコとの、合同パトロールを始めたが、あまり意味はあるまい。つまりアメリカにとっても、トルコの難民問題は、めんどうの種なのだ。

 

 トルコのチャブショール外相は、アメリカがトルコの安全地帯案を盗んだ、と非難している。盗んだということは、似て非なるものを創る、という意味であろうか。それにしても、アメリカはちょっとせこすぎるのでは、ないだろうか。だからと言って、トルコを称賛するつもりはないが。