『サウジアラビアのイエメン空爆死傷者多数』

2019年9月 2日

 サウジアラビアがイエメンの、収容所を空爆した。この結果、60人以上の死者と100人以上の、負傷者が出ている。これはこれまでに行われた、サウジアラビアによる空爆のなかでも、飛びぬけた死傷者の数であろう。

 攻撃された収容所の場所は、イエメンの西ダマール州にあり、刑務所とも収容所ともみられる建物だった。そこにサウジアラビアの空軍が、空爆を加えたということだ。サウジアラビアのパイロットには、地上の様子は見えないだろうから、どれだけ悲惨な状況であっても、気になるまい。

 地上では空爆によって、破壊された建物のがれきの下敷きとなり、多くの人たちがうめいており、また体はばらばらになって、死亡している人たちが多数いるのだ。戦争とはそういうものだ、と言ってしまえばそれまでの話なのだが、あまりにもむごい話ではないか。

 このダマール収容所兼刑務所には、170人が収容されていたようだが、今回の空爆で、160人以上が死傷しているのだから、ほとんど全員が犠牲になった、ということであろう。

 イエメンの内戦は2015年の3月に始まり、そこにサウジアラビアが参入して、今日に至っている。サウジアラビア空軍による、空爆と地上軍による砲撃で、イエメンのインフラは、めちゃめちゃに破壊されている。

 過去4年半の戦闘を通じて、イエメンでは91000人の死者が出ている。負傷者の数はその10倍以上であり、難民となった者の数も、おびただしい数に上っていよう。まさに地上の地獄の、様相ではないか。

 そうしたイエメンの実情は、世界の知るところとなり、各国から援助品が送られるのだが、送られて来る援助の食糧は、どちらかのグループかが抑え、食べるにことをかいている人たちには、なかなか届かない状態になっている。

 ダマール収容所はイエメンの首都、サナアから近い場所らしく、負傷者たちはサナアの病院に運ばれ、治療を受けているということだ。

 サウジアラビア政府はこのイエメンの、実情を知るべきであろう。そして、サウジアラビアが同じムスリムのイエメン人に対して、行っている攻撃が、イスラム教の教えに背くものであることを、知るべきであろう。

 ムハンマド・ビン・サルマン皇太子はカシオギという、一人のジャーナリストを殺したことよりも、イエメンに対する攻撃で、殺人を繰り返していることの方を、非難されるべきではないのか。