『ISとアルカーイダの関係第二世代多数誕生の理由』

2019年9月13日

 ほとんどの人たちは、既にお忘れか、ニュースに触れなかったものと、思われる。それは、実はアルカーイダが、IS(ISIL)の母体だということだ。IS(ISIL)のリーダーであるバグダーデイは、イラクのアルカーイダのメンバーだったのだ。

 アルカーイダは世界的に知られるテロ組織として、既に世界全体で、指名手配されたかたちになっていたのだ。それでは活動がやりにくいということで、誕生したのがIS(ISIL)であった、と思われる。

 以後、IS(ISIL)はアメリカの支援を受け、たちまちにして巨大組織へと、膨れ上がって行き、シリアやイラクの領土の大半を、支配するに至った。いつの間にやらIS(ISIL)は、悪のヒーローのように、もてはやされることとなった。これと対抗する、アルカーイダから派生した組織には、ヌスラがある。

 ヌスラは人質を殺し腹を切り裂いて、内臓を食って見せることで、一躍残虐な組織として、知られるようになった。それは、当時IS(ISIL)の戦闘員の、正当性というか、清潔さをイメージするには、最適だったのかもしれない。

 つまり、IS(ISIL)とヌスラは同じ腹から生まれ、それぞれの役割を担っていた、ということだ。だが、IS(ISIL)の組織が拡大していくと、国家的な組織にしていくために、彼らはシリアの石油を密輸して大金を稼ぎ、多くの戦闘員を集めては、現地の女性たちを人質にし、奴隷や花嫁として売り飛ばした。

 そしていま、IS(ISIL)はシリア政府の要請により、シリア入りしたロシア軍に、徹底的に攻撃され、アメリカも嘘がばれるとして、IS(ISIL)攻撃を始めたために、シリアでもイラクでも大きな敗北を、喫することとなった。

 以来、IS(ISIL)は終わったように言われているが、彼らはシリアやイラクでの、役割を終えただけであり、組織そのものが、終わったわけではない。彼らは新たな戦闘地域を、アフリカや東南アジアに、変更しただけなのだ。

 それは言うまでもなく、大国の利益の先兵として、それらの地域に向かったのだ。IS(ISIL)に入られた国は、対応に苦慮し、国内が混乱する。そこで大国はその国に対し、支援を口にし、武器を売りつけるのだ。

 大国の狙いは、武器を売りつけることが,メインではなく、その国の資源なのだ。アフリカにいまだに未開発の資源が、うなるほど地下に眠っているのだ。リビアを始めとした、北アフリカ諸国は、その代表格であろう。

 もう一つIS(ISIL)について述べると、シリアにあるIS(ISIL)を収容するキャンプでは、第二世代が成長しているのだ。IS(ISIL)による強制結婚で、生まれた多くの子供たちが、10歳を超え戦闘できる年齢に、近付いているのだ。

 この子供たちは社会に対する、憎しみの中で育っており、将来はそのほとんどがIS(ISIL)の戦闘員に、なって行くことであろう。はたして世界はこの悪循環に、どう対応していくのだろうか。IS(ISIL)は既にスリランカ、バングラデッシュ、インドネシア、フィリピン、マレーシアなどに入り込んで、拡大しつつあるのだ。