『ISの動き活発化パレスチナ・イラク・シリア』

2019年9月 1日

 最近ISISIL)の動きが、活発化してきている。それはイエメンに始まりガザ地区、イラクのシンジャル地域キルクーク、そしてシリアだ。イエメンは各派が混沌とした状態にあり、ISISIL)が介入していきやすい環境に、あるのだろう。

 イラクについてはまた戻ったのか、と言いたくなるが、イラク軍のコントロールが、緩んできているのであろう。加えて、イラクではイランの革命防衛隊の進出もあり、これを邪魔したい、ということであろうか。

 パレスチナのガザ地区では、ハマース勢力とIS(ISIL)が、共に反イスラエルであると同時に、双方が敵対してもいる。こうなると、ハマースにしろIS(ISIL)にしろ、どっちに向けて銃を撃ったらいいのか、分からなくなるのではないか、と冗談とも言え無い現実があろう。

 こうした情況が生まれているのは、多分にアメリカのコントロールが、緩んできていることにあろう。また、ロシアはトルコとの政治的な交渉があり、何処まで反政府勢力を叩くのか、難しい状況にある。イスラエルのシリア攻撃についても、ロシアは反撃を控えているし、シリア軍にもS300などを使った、イスラエルへの反撃は、許していない。

 その間隙をぬっての、IS(ISIL)側の攻勢拡大であろうか。何処の国でもそうだが、一旦情勢が収まってくると、国内勢力各派はその後の、自分たちの利益を、優先するようになり、内部の結束は緩んでしまうことがある。

 イラクの場合には親イラン派、シーア派、スンニー派、リベラル派など、幾つもの勢力が競い合っているのだ。

 シリアについては言うまでも無い。イランの革命防衛隊、レバノンのヘズブラ、トルコの支援を受けるFSA、アメリカの支援を受けるSDF、そして、シリア軍などやはり幾つのも勢力が、うごめいているのだ。

 パレスチナの場合も同じで、ハマースの勢力、イスラム・ジハード・グループ、パレスチナ自治政府派と、やはり勢力グループは多い。それに加え、イスラエルと通じるグループや、エジプトと通じるグループも存在するのだ。

 これではコントロールが一旦緩むと、どうしようもなくなるということか。その国内の緩みを、閉めなおすには、相当のエネルギーがいるということだ。そして、それには相当の時間も、必要だということだ。