『イスラエルはアラブに包囲された』

2019年8月28日

     イスラエルはいまアラブ諸国に、包囲されたのではないのか。だからと言って、戦争がイスラエルとアラブ諸国との間で、すぐに起こるとは言わないが、イスラエルは相当警戒感を、強くしているようだ。

 まず、現段階でイスラエルと緊張を高めている、アラブ諸国をあげてみよう。第一はイスラエルの、北に位置するレバノンだ。レバノンはイスラエルに対して、強硬派のヘズブラが控えている。イスラエルとヘズブラとの間では、最近もイスラエルからの攻撃が起こり、ヘズブラ側が報復を誓っている。

 ヘズブラは今度イスラエルに侵攻するときは、イスラエルにとって最終戦争になろう、とも言っている。つまり、イスラエルを破壊する、とヘズブラは言っているのだ。

 そんなことが可能だろうか、と思うかもしれないが、ヘズブラは以前に起こった、アラブ・イスラエル戦争(中東戦争)で、アラブ側がイスラエルに与えたよりも、大きな損害を与えているのだ。

 いまではヘズブラの持つミサイルの数は、相当なレベルであり、確かドローンも持っているはずだ。しかも、戦闘員は特攻意識が強く、簡単には降参しないのだ。国民の命を大事にするイスラエルとは、国民の戦争への意識が、まるで違うのだ。

 第二に上げられるのはシリアだ。シリアはいままでイスラエルに、何度も攻撃され、破壊されてきている。しかし、いまではロシアの全面的な支援を受け、武器も高度なものを潤沢に、所有するに至っている。

 しかも、シリアにはイランの革命防衛隊が、基地を構えており、何時でも戦闘できる体制に、入っているのだ。このため、シリアはイスラエルを恐れることなく、攻撃できるということだ。ただ、ロシアがシリアのイスラエル攻撃を、何処まで認めるか、ということはあろう。

 そして次にあげられるのは、イエメンのホウシ軍だ。ホウシ軍はイランからの全面的な支援を受けており、サウジアラビアの深奧まで、攻撃できるドローンや、ミサイルを大量に保有している。

 つまり、現在イスラエルはレバノンのヘズブラ、シリア軍、シリアのイラン軍、イエメンのホウシ軍に囲まれているのだ。これらの国々が一斉に、イスラエルに戦争を仕掛けた場合、イスラエルには打つ手はあるまい。

 そして、忘れてならないのは、ガザのハマースやイスラム・ジハード勢力だ。彼らのイスラエルに対する怒りは,相当なものであろう。しかし、ハマースにもイスラム・ジハードにも、十分な武器はない。だが、いまあげたアラブの国々と連携すれば、ハマースもイスラム・ジハードも十分戦えよう。イスラエルはアラブ諸国に対して、先に手を出すのだろうか。

 これらアラブ諸国にとって、イランの武器支援、資金援助、ロシアの武器援助は大きな助けとなっている。これで中東情勢は全く異なる、様相を見せるようになった、ということだ。