『トルコ軍遂にシリアのイドリブに侵攻』

2019年8月20日

  トルコ軍が大挙して、イドリブに向かって動き出した。イドリブは日本で言う、県のような単位であり、広大な面積からなっている。そのなかには、幾つもの拠点都市があり、シリア軍を始め各種テロ組織が、拠点として立てこもっているのだ。

 シリア軍はこれまでに、イドリブに隣接する南側の、ハマ県を抑えたが、これはイラン軍とロシア軍の支援の下に、進められたものだ。シリア軍はいまイドリブのハンシェイクンから、400メートルの位置に陣取り、攻撃に備えている。

 また、シリア軍はホバイト、タルタリ、ファキル、サッバーギーヤ、カフル・アイドン、スケイクなども占領している。

 こうしたシリア軍の大攻勢を前に、トルコはしかるべき地位を、占めておかなければならない、と考えたのであろう。シリアの北部はトルコに隣接しており、少しでも注意を怠れば、シリア軍やその配下のテロ組織が、トルコ領内に侵入してくる、危険性があるからだ。

 それで今回トルコ軍が戦闘車両50台、その中には戦闘員輸送車も含まれている、そして5台の戦車も加わっての、イドリブに向けて侵攻したのだが、当然、シリア軍側はこれを阻止するために、トルコ軍のコンボイの車列に空爆を、加えることになった。その結果、3人が死亡12人が負傷している。いまのところトルコ軍側は、死傷者について発表していない。

 今回、シリア軍がトルコ軍の車列に、空爆を加えた裏には、ロシア軍の支援があったわけだが、ロシア政府はイドリブを、最も危険な地域とみなしている。そこには、反シリア政府のテロリストが、多数拠点を構えており、シリア軍は相当力を

入れて攻撃しなければ、奪還できないからだ。

 そこにトルコ軍が新たなファクターとして、加わったことはシリアにとっては、極めて不愉快なことであったろう。トルコ政府は今回のシリア側の攻撃について、ロシアとトルコとの間で交わした、不戦の合意が破られたものだ、と非難している。

 場合によっては、トルコが進めて来た、ロシアとの兵器開発と輸入に、悪い影響を与えるかもしれない。もしそうなれば、アメリカは大喜びであろう。トルコはアメリカからF35戦闘機の輸入がだめになり、代替え機として、ロシアからスホイを、輸入することを検討し始めていた。

 もし今回の件がもとで、トルコとロシアの関係が悪化すれば、アメリカは大喜びであろう。