『イランがホルムズ東までパイプ・ライン敷設』

2019年8月15日

 イラン政府はペルシャ湾の緊張に伴い、石油輸出の上で問題が発生する、可能性が高いためと、ペルシャ湾内が混雑し、ホルムズ海峡通過に、危険が伴うようになることから、ペルシャ湾北西部からホルムズ海峡の東まで、パイプ・ラインを敷設することを決めた。

 このパイプ・ラインは、1100キロにも及ぶ長大なものであり、それに要するパイプの量は、莫大な量になる。そこでイランはヨーロッパや中国、韓国からの輸入ではなく、自前のパイプを使用することを決めた。

 その結果、パイプの費用は半減するということであり、なお、建設の費用総額は20億ドル、と見られている。このパイプ・ラインは、ペルシャ湾北部のブシェールのゴウレから、ホルムズ海峡東の南ホルムズ県の、バンダルアッバースの南に位置する、ジャスクまで敷設される。この工事を請け負ったのは、イランのPEDEC社(イラン石油技術開発社)だ。

 このパイプ・ラインが完成すると、日量100万バーレルの石油が、このパイプ・ラインを通じて、ゴウレからジャスクまで、輸送されることになる、また、ジャスクには大型貯油タンクが建設されるが、それは2000万バーレル(BPD)ということだ。なお、パイプ・ラインの完成は、2021年3月ということのようだ。

 世界の石油を輸送するタンカー会社にとっても、これは朗報であろう。ペルシャ湾内を航行し、北上して石油を積み込む必要が無くなり、輸送コストは大分下がることになろう。また、このパイプ・ラインが完成すれば、安全は格段に改善され、保障されよう。

 イランはアラブ湾岸諸国全体との、関係改善が進んでいるが、こうしたプロジェクトは、益々イランとアラブ湾岸諸国との距離を、縮めるのではないか。そうなると、孤立するのはサウジアラビアであろう。