『危険な橋を渡るかトルコ露武器装備へ傾斜』

2019年8月12日

 トルコはいま危険な橋を、渡りかけているのではないか。先にトルコ政府が進めたロシアの、S400ミサイル輸入に当たっては、アメリカとの間で大分問題化していた。アメリカのポンペオ国務長官は、未だに『トルコはロシアのS400ミサイル輸入を、止めるべきだ。』と圧力を掛けている。

 トルコのロシアからの、S400ミサイル受け取りは、今年の6月12日から始まり、来年4月まで継続して、行われるそうだが、アメリカとしては不愉快でたまるまい。アメリカにしてみれば、経済苦のなかで、何とかパトリオット・ミサイルやF35戦闘機を、トルコに売りつけたいのであろう。

 トランプ大統領はトルコのS400ミサイル輸入に、あまり文句を言わず、何とかアメリカ製武器のパトリオットやF35を、売りつけたいのであろう。そのために、硬軟両方の対応を、トランプ大統領とポンペオ国務長官が、演じているのであろう。

 そうしたなかで、アメリカはトルコが言うことを聞かず、S400ミサイルをロシアから輸入したことに腹を立て、トルコが欲しがっている、F35戦闘機の輸出を止め、パイロットやメンテナンス要員の訓練も、取り止めている。

 そうすると、強気のエルドアン大統領は、『戦闘機や武器は何処からでも買う。』と言い出し、遂には、ロシアのSU35戦闘機を、輸入する方向で交渉し始めることを、検討し始めている。もし、ロシアのSU35をトルコが輸入することになれば、トルコはロシア製S400ミサイルと、SU35戦闘機で守られることになるのだ。

 S400ミサイルの輸入で、アメリカが腹を立てたのは、そうなればロシアから技術要員が、多数トルコに入り、F35戦闘機の構造を、なかでもステルス性能と構造を、知られることになるからであろう。それは当然起こりえよう。

 さあ、アメリカは今後トルコにどう対応するのであろうか。トルコに圧力を掛け続けるのか、妥協するのか。ここまで来ると、アメリカに残された道は、強硬対応しかないのではないか。例えばトルコの経済に、大きなダメージを与えるとか。

 トルコの経済が維持出来ているのは、外国からの投資と借入金、そして、輸出、観光産業だが、この外国からの投資資金が途絶えれば、S400ミサイルやSU35の輸入代金の支払いは、相当厳しいことになり、エルドアン大統領が嫌う、IMFの関与を受けざるを、得なくなるかもしれない。

 トルコは遂に、ルビコン橋を渡ったというか、レッド・ラインをまたいでしまった、というのか。いずれにしろ、エルドアン大統領の地位さえも、危険な情況に入ってきた、ということではないのか。また、

 アメリカの力が相当弱まっていることを、感じさせる動きでもあろう。トルコが SU35までも輸入することになれば、世界の兵器市場は、大変革を遂げることになろう。それはアメリカ経済に、致命的なダメージを与えかねない。