『アメリカのイラン制裁は皆失敗か』

2019年8月 2日

 

イランの石油は一滴たりとも輸出させない、とアメリカが宣言して以来、イランの石油輸出はどうなっているのか、ということが気になっていたが、どうやらアメリカのイラン石油輸出制裁は、部分的にしか効果を、発揮していないようだ。

 もちろん、日本などのような大口輸入国は、アメリカの圧力の下、イラン石油の輸入を見合わせているが、それ以外の国々は相変わらず、輸入を続けているようだ。たとえば中国やインドがそうだ。

 中国もインドも正面切って、イラン石油の輸入を、明らかにしている。これに対して、アメリカが出来ることは、あまりないのではないか。例えば、その石油を輸入するタンカーに対する、攻撃は出来まい。せいぜい、テロリストを使っての攻撃程度に、終わるのではないか。

 その他の小国は、当然イランからの石油を、輸入していようが、これはアメリカもお目こぼし、ということであろうか。つまり、アメリカが唱えたイラン石油を、一滴も売らせない、という作戦は実質的に、失敗したということだ。

 それでは、そのイランを締め上げるための、イラン包囲作戦はどうであろうか。既に何度も書いてきたように、ヨーロッパ諸国はアメリカの結成する、合同軍に加わらないとし、ドイツは正面切って、不参加を宣言している。いまのところ、日本も艦艇を派遣して、参加するつもりは、無いとしている。

 そこで出てきたのが、イランのザリーフ外相を国連会議から、締め出す案であろうが、イラン側は子供じみた馬鹿げた行動だ、と笑っている。加えて、イランはアメリカが恐れているのは、ザリーフ外相の国連における、演説だろうと言っている。

 アメリカが主張する、種々の反イラン発言は、根拠の無いものであり、タンカー攻撃もイランがやった、とアメリカは言っているが、確かな証拠は無い。つまり、アメリカによるデッチ上げを根拠に、アメリカはイランを海上封鎖しよう、ということだ。

 イランは最近になって、ガソリンの輸出が増えている、と発表している。その通りであろう、いま売れている量は、そう多いとは思えないが、アメリカの締め付けが、緩んだと思えば、多くの国が買い付けに動こう。ヨーロッパ諸国も然りであり、イランとの取引の抜け道を、イランと協議しているのだ。

 どうやらアメリカは、幼児化しているのかもしれない。イラン政府がアメリカのザリーフ外相締め出しについて、幼児的な行動と笑ったが、まさにそのとおりではないのか。そのアメリカに盲目的に従っていては、将来の日本とイランとの関係が、不安になるのだが。