アメリカはイランを制裁し、包囲するために合同軍を結成して、ペルシャ湾周辺のコントロールをしたい、と思っている。しかし、アメリカの考える合同軍の結成は、アメリカの考えとは全く違う方向に、動き出しているようだ。
第一に、トランプ大統領が最も厚い信頼を寄せる、日本は軍事的な参加はしない、と安倍首相が早々に発言している。しかし、日本は外交面でイランの説得に、あたるつもりのようだ。
それではヨーロッパ諸国はというと、ヨーロッパ諸国はアメリカの合同軍とは異なる、独自の合同軍を結成する方針だ。そこにはドイツも加わる、見通しとなっている。こうしたヨーロッパ諸国の、反アメリカ的な立場は、やはりトランプ大統領の傲慢なやり方に対する、反発が強いからであろう。
驚くべきことに、アメリカと最も深い関係にあるはずのイギリスが、アメリカの結成する合同軍には加わらず、ヨーロッパの結成する合同軍に加わりたいようだ。それは多分に、軍事的なメリットというよりも、イランとの将来の経済的メリットを、考えてではないのか。
ヨーロッパ諸国はこれ以上、イランとの緊張を高めたくない、と思っているのだ。ヨーロッパ諸国にしてみれば、イランとの通商を再開したいのと、イランの核兵器開発を止めたい、ということがメインであり、イランを軍事的に攻撃し破壊したい、とは考えていない。
スペインはアメリカの機動部隊に、参加していたが、今回の問題が持ち上がると、早々に撤退している。スペイン政府にしてみれば、バカらしくて付き合ってなんかいられない、ということであろうか。
インドの場合もやはり、アメリカの合同軍には参加しない、という立場を鮮明にしている。
これから考えられるのは、イラン石油の大量輸入国である中国が、どう対応するかだが、中国がアメリカの傘下に入り、イランと敵対関係になるとは思えない、イランの石油を買うことはあっても、イランを敵に回すつもりはあるまい。それはロシアも同じで、ロシアはアメリカの方針に、全く逆な立場を取ろう。
どうやらアメリカというか、トランプ大統領の立場は、国際的に弱体化してきている、という事なのであろう。トランプ大統領はどうやって、イラン包囲と強硬対応の大活劇の幕を、閉じるのであろうか。