『ロシアがトルコに闘機輸出・米はどうする』

2019年7月19日

ロシアがトルコに最新鋭の戦闘機を、輸出することを決めた。これはプーチン大統領とラブロフ外相によって決められ、正式にはロステク社のセルゲイ・チェメゾフ社長が発表している。

 

 戦闘機はSu-35であり、鳥のようなスマートな形をしている。このロシアの決定は、アメリカがトルコに対して、F35戦闘機を売らないことを決めた、すぐ後のことであり、アメリカとトルコの関係が悪化する中で、決められたもののようだ。

 

 ロシアはこれ以外にも、アメリカとトルコとの間で問題になった、S400ミサイルのトルコへの輸出も、決めている。これはアメリカだけではなく、NATOとトルコとの関係にも、問題を生み、場合によってはトルコがNATOから、追い出されることも、ありうるのだ。

 

 そうなれば、トルコとアメリカだけの問題ではなく、トルコとヨーロッパ諸国との関係にひびが入り、その先にはヨーロッパの中東地域の、戦略バランスに大きな変が、起こるかもしれない。

 

 これまでロシアとトルコとの関係には、種々の問題があったことも事実だ。例えば、アンドレイ・カルロフ駐トルコ・ロシア大使暗殺事件が、起こっている。それにもかかわらず、ロシアは忍耐強くトルコとの関係促進に、努力して来たということであろう。

 

 トランプ大統領は商売人であり、トルコへのF35輸出は、大きなビジネス・チャンスであったろう。しかも、トルコ側が希望していた輸入数は、100機を超えていたのだから、大商いということだった。

 

 しかし、それはアメリカの議会などの反対で、実現しなかったということだ。だが、その付けは、これからどんどん膨らんでいき、遂には、トルコはロシア側にからめ取られて、しまうかもしれない。

 

 もし、アメリカやヨーロッパが、トルコとの関係を悪化させ、トルコとロシアとの結び付きを強くしていけば、その先にあるのは、トルコのインジルリク空軍基地を、NATO手放さざるを、得なくなるということだ。

 

 それはアメリカやヨーロッパ諸国にとって、アラブ湾岸諸国を手放すことにも、繋がるのではないか。いま世界はまさに全く新しいフェーズに、入っているということであろう。