『トルコに対する締め付けは欧米から』

2019年7月16日

 トルコがアメリカの反対を押し切って、ロシアからS400ミサイルを購入したことは、アメリカを激怒させている。その最初の納入が過去数日間に行われ、相当量のS400関連品が,ロシアの大型輸送機で, 既に5機分も持ち込まれている。

 

 先日、エルドアン大統領はトランプ大統領と、電話で話し合い、その後、エルドアン大統領はS400ミサイルをめぐって、アメリカがトルコに制裁を加えることは無い、と断言していた。

 

 確かにそうかもしれないが、アメリカには他国に圧力をかける方法は、いくらでもある。金融制裁があるのだ。フィッチ社はトルコの経済悪化と、中央銀行総裁のムラト・チェチンカヤ氏の更迭で、BB―(BBマイナス)という判断を下している。これはトルコの経済に対して、各国が警戒するレベルであろう。

 

 そのことは、トルコへの外国からの融資や、貸付、投資が減るということであり、金融事情は目に見えて悪化しよう。当然その結果として、トルコのリラは売られ安値となり、それは借入金に対する返済や金利支払いが、厳しくなるということだ。

 

 アメリカはトルコに対して特別な制裁をしなくとも、トルコは窮地に追い込まれる、ということであろう。もう一つは、ヨーロッパ諸国の間で、トルコ嫌悪が拡大していることだ。ヨーロッパ諸国はトルコが、NATOに留まることに、不満を述べ始めてもいる。

 

 トルコがロシアのS400ミサイルを、輸入したことがNATOの解体、あるいはNATOのトルコはずしに、繋がる可能性もあろう。そこまでヨーロッパ諸国とトルコとの関係は、おかしくなってきているのだ。

 

 トルコが強引に進める、地中海海底ガス石油開発でも、ヨーロッパはギリシャとキプロス側を支持し、トルコ非難に回っている。地中海の海底エネルギー資源は、イスラエルにも関わっている問題であり、今後、相当もめるかもしれない。しかし、トルコは二基の掘削機を、地中海に持ち出して、既に掘削を始めているのだ。

 

 アメリカはヨーロッパと連携して、トルコ潰しを始めるのではないか。それは、S400ミサイル問題だけではなく、欧米に溜まったエルドアン体制への、怒りと不満が、限界に近づいているからであろう。