『パーレビ王朝復活はあるのか』

2019年7月15日

 

パーレビ皇帝の子息を担ぎ出して、再度イランにパーレビ王朝を復活させよう、という意向がアメリカに生まれ始めている。アメリカのような長い歴史の無い国は、王国にあこがれる傾向がある。そして皇帝や国王は憧れの対称になるからだ。

 

 アメリカの考えるイランに皇帝を復活させる、という考えを支持するのは、サウジアラビアやイスラエルなどだということだが、果たして、当事者であるイラン人の間では、どうなのであろうか。

 

 パーレビ皇帝の子息レザ・パーレビはそのアメリカの意向を受けてか、アメリカ国内で活動を始めたようだ。彼はペルシャ語のテレビ放送で、キャスターを始めたのだ。この裏には、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子が控えており、彼がスポンサーになっている、ということだ。

 

  ムハンマド・ビン・サルマン皇太子にしてみれば、イランに体制変革を起こし、レザ・パーレビを新皇帝に据えることが出来れば。サウジ王家にとって好都合になる、ということだ。そのためにムハンマド・ビン・サルマン皇太子は、レザ・パーレビを支援しているのだ。

 

 このペルシャ語放送番組は、イランまで電波が届いており、イラン国内でも基本的には、見られるということだ。ただ、どの程度の視聴率があるのかは分からない。多分イランの現状からすれば、それほどの支持はないのではないか、と思われる。

 

 確かに、イランでイスラム革命が起こって以来、イランはイスラム国家となっているが、その歳月は既に、40年以上が経過しており、多くの若い世代は、パーレビ時代のイメージを、全く持っていないのだ。

 

 2018年には、イランの南西部のアフワーズでテロが起こり、25人が死亡し、70人が負傷するということが、起こっている。ただ、このテロがパーレビ派によって工作されたのかというと、そういう証拠は無いのではないのか。アフワーズはイランでは、マイノリテイのスンニー派が、差別されていることから、スンニー派の反政府勢力によるものだ、と考えられているのだ。

 

 イラン国内では、40歳になるレザ・パーレビ評価は高くなく、賢い人物とは見なされていないようだ。従って、イラン国民の間には、彼に対する尊敬敬愛の気持ちは、無いということだ。そうであることは、レザ・パーレビには勝ち目が無い、ということだ。