『トルコ・エルドアンに二つの難問』

2019年7月 9日

 トルコのエルドアン大統領は、いま二つの難問に直面している。一つはトルコ・リラの値下がりだ。トルコ・リラの値下がりは中欧銀行総裁を、首にしたことが原因であり、エルドアン大統領の決定の結果だ。

 

 エルドアン大統領は企業の活性化のために、金利を下げることを主張し、中央銀行総裁はこれに反対していた。その理由は金利を下げれば外国からの投資が減少する、というものだった。結果的にそれが原因で、中央銀行総裁は首になった。

 

 この中央銀行総裁の首のニュースは、早速世界中に伝わり、中央銀行の独立性に問題があるとして、世界はトルコ・リラに対する信頼感を弱め、トルコ・リラは売られることになった。結果は5・8245リラという、新安値をつけることとなった。

 

トルコ・リラは今年8パーセント下げたが、昨年は30パーセントも下がっていた。首になったムラト・ジェンカヤ総裁は、金利24パーセントを維持することにより、外国からの資金のフローを、維持しようとしていたのだ。彼に代わったのは副総裁のムラト・ウイサル氏だ。今後、トルコ経済は急激に、悪化することが起こり得そうな雲行きに、なってきたということか。

 

 この問題に加え、元蔵相のアリ・ババジャン氏は、月曜日に与党AKPを辞任することを決めた。彼は新党を結成することを決めたのだ。彼は新党結成について『トルコは新しい考えが必要だ。』と語っている。なお、アリ・ババジャン氏の新党には、ギュル元大統領も支援を送る模様だ。

 

 アリ・ババジャン氏は『新党は人権、自由、発展的民主化、法による統治。』を唱えている。つまり、エルドアン大統領はこれらのいずれも、実行していないということであろう。

 

 さて、トルコ・リラの値下がりと、将来的な経済苦という問題に加え、評判のよかったアリ・ババジャン氏の、与党AKPからの離脱は、何処までエルドアン大統領を追い込むのであろうか。注目に値する。