『ヨルダン議員イスラエルのガスパイプは爆破しろ』

2019年7月 4日

  ヨルダンのターリク・ホウリー議員が、『イスラエルのガス・パイプラインは爆破しろ。』と叫んでいる。彼に言わせると、イスラエルの海底ガスが、ヨルダンにパイプラインでつながれているのは、名誉にかかわる問題だというのだ。

 

  ターリク・ホウリー議員はキリスト教徒であり、ムスリムではない。通常こうした過激な発言が出てくるのは、ムスリムと相場が決まっているのだが、今回はキリスト教徒のようだ。

 

  イスラエルとヨルダンとの間で、ガスの供給合意が交わされたのは、2016年のことだが、その額は100億ドルで、イスラエルのデレク社との間で交わされたものだ。この合意は大衆の間では、完全に拒否されている。それは大衆の感情からも、法律的にも、政治的にも認められないものだ、ということだ。

 

 ヨルダン政府はこのイスラエルとの合意に折れたが、国民はそうではない。我々はこの合意を認めず、破棄させる方針だ。ヨルダンの議員たちの多くは、326日の段階で、政府に対して、イスラエルとのガス共有合意を、破棄しろと迫っている。

 

  ターリク・ホウリー議員だけではなく、アーテフ・タラーウイナ議員も同じ考えだ。彼もこの合意は議会として拒否し、大衆としても拒否するものだ、と語っている。

 

 さて、ヨルダン王家と政府は欧米寄りであり、王家はイスラエルと深い関係にあるが、そうした流れの中で、イスラエルからのガス供給が、決まったのであろう。しかし、パレスチナの領土を占領したままでいる、イスラエルに抗議したい気持ちは、ヨルダン国籍を持つパレスチナ人も、同じであろう。

 

 現在ではヨルダンの国民の7割以上がパレスチナ出身ではないのか。たかがイスラエルからのガス輸入、と思うかもしれないが、ちょっと間違えば、ヨルダンの王家が危険にさらされることになる、この問題は極めてデリケートな、難物なのだ。

 

 ヨルダンのアブドッラー国王は、国内にムスリム同胞団という危険な爆弾を抱え、多くのパレスチナ難問を抱え、ヨルダン国籍を取得したパレスチナ人を、抱え込んでいる。それらのいずれもが強力な爆発力を、有しているのだ。少し間違えば本当に王政の、危機に繋がる問題だ。