『トルコ二つの難問』

2019年7月 1日

 トルコはいま二つの難問に直面している。それはそれぞれに、なかなか難しい問題だ。一つはリビアのハフタル将軍の軍隊、LNAとの問題であり、もう一つは、アメリカのトランプ大統領との問題だ。 

:リビアのハフタル将軍との間の問題は、ハフタル将軍がトルコのセラジ政権に対する支援に、腹を立ててトルコの権益を犯す、と宣言したことだ。既にハフタル将軍はリビアトルコ間の空路を閉鎖し、海路も閉鎖すると言っている。

 これではトルコはリビアとのビジネスが、出来なくなってしまう。加えてリビア在住のトルコ人の安全も、保障しないということであるから、彼らはどうやってハフタル軍から逃れるか、という難問が待っている。

 唯一考えられるのは、陸路リビアの隣国チュニジアに渡り、そこから空路なり海路なりで、帰国することであろう。だがハフタル軍側は既に、6人のトルコ人を逮捕しているのだ。このためトルコのアカル国防相は、トルコ人救出とハフタル将軍側に対する、攻撃を宣言している。

 だがこのトルコによるリビア攻撃は、結構大変な問題であろう。トルコからリビアまでの距離は大分あり、しかも両国の間には地中海がある。このため軍隊を移動することも、航空兵器による攻撃も、そう簡単ではあるまい。

:もう一つの問題は、シリアのクルド人との問題だ。トルコ軍は現在シリアとの国境に、65000人の軍人を配備しているが、この軍隊でエルドアン大統領は、国境地域からクルド人を、掃討する考えだ。

 しかし、このシリアのクルドの軍隊は、はアメリカの子飼いのミリシアであり、これまでIS(ISIL)の掃討作戦で、活躍してくれている。このためトランプ大統領としては、彼らを保護しなければならないのだ。

 既に、トランプ大統領はトルコ側に対し、『クルド掃討作戦やはやるな。』と警告している。はたしてエルドアン大統領はこのトランプ大統領の反対を、どう覆すのであろうか。