リビアの東部政府所属のハフタル軍(LNA)と、西部政府セラジ首相所属の軍(GNA)が、戦闘を展開してきていたが、ここに来てその情況に、大きな変化が出始めている。その進行状況によっては、リビアの内戦が本格的な、国際紛争に様変わりするかもしれない。
このような情況が発生したのは、ハフタル軍がなかなかトリポリを、攻略出来ないでいることによろう。その理由は、トルコが武器や戦闘員を、セラジ政府側に送っているからだ。トルコは多くのIS(ISIL)戦闘員を送り込み、戦闘車両や武器も送っている。
このことに腹を立てたハフタル将軍は、遂にセラジ政府側のGNA(西部政府所属の軍)ではなく、トルコを第一の敵とみなし始めている。ハフタル将軍のスポークスマンであるミスマリ氏は、これからはハフタル軍が、トルコの飛行機、船舶、戦闘員、トルコ企業の現場や事務所を、ターゲットとすると発言した。この場合のトルコの軍とは、トルコ軍そのものなのか、あるいはトルコが送り込んだ、IS(ISIL)なのかは不明だ。
トルコはGNA側に対して、ドローンやトラックも送り込んでいるということだ。そのためリビアの港に入っているトルコ船は、全てが攻撃の対称になる、ということだ。同時に、リビアの空港からトルコに飛び立つ飛行機は、全て攻撃の対称になってもいる。
従って、現在LNA側の攻撃が予想されるトルコ人は、船でリビアから逃げ出さなくてはなるまい。それもやはり危険なことであろう。
もちろん、リビア内戦の一方であるセラジ政府側が、トルイコから支援を受けているように、ハフタル軍側(LNA)側もアラブ首長国連邦や、エジプトから支援を受けている。これに加え、フランス、イタリア、ロシア、サウジアラビア、カタール、アメリカもリビアの内戦に、複雑に絡んでいるのだ。それだけリビアは魅力的な国なのであろう。
いま最も激しい戦闘が展開されているのは、トリポリへ続くガリヤンでの戦闘だが、ここでは既にLNA側の戦闘員、44人が戦死している、ということだ。ガリヤンはトリポリから100キロ離れた高地にあり、ここの戦闘で、後退したLNA側の陣地では、大量の武器と食料、そしてアメリカ製の対戦車ミサイルが、見つかっている。
このことについてアメリカ政府は、武器がアメリカ製である、と言うことが事実なのか、そうであるとすれば、何処からLNA側の送られたのかを、確認したいと言っている。だが、裏ではアメリカがハフタル将軍側を支援している、という情報もあり、武器に関するアメリカのコメントは、表面的なものではないのか。
今後ハフタル軍のトルコ側への、攻撃が強化されれば、トルコはリビアに軍を派兵することになるかもしれない。そうなれば、リビア内戦は新たな展開を、見せることになろう。